苦手…というか怖い | ナノ


ウォーリア・オブ・ライト。
光の戦士。
調和の女神率いる秩序軍にて、最強を誇る戦士だ。
名に「戦士」とあるものの、その立ち居振る舞いは騎士然としていて。
隙も迷いも無い、正に光の様な存在だ。
当然、仲間からの信頼は厚い。
しかし余りにも…純粋なまでに真直ぐで、芯が揺らぐことが無い為、本当に人間かと、疑心にかられる仲間も少なくなかった。
…が。
こんな彼にも、苦手なものは存在する。
…そして、1番知られてはまずい人物に、それを知られてしまっていたりもする…。
「本当に知ってんのかぁ?」
彼の苦手なものを知っている、というバッツに、ジタンは心底疑り深い目を向けた。
「本当に知ってるんだって」
と言うバッツは、悪戯がしたくて堪らない、という表情で。
それでも、信用ならない、と表情で語って、ジタンはウォーリアを呼びに行かされたスコールを待つ。
…程なく。
休んでいたのか、袖の短いゆったりとした装いをしたウォーリアが訝しげな様子で、使いに出されてむすっとした表情のスコールと共にやってきた。
「バッツ、私に話とは?」
「ああ、呼びつけて悪い。これから3人で手合わせしようと思ったんだけど、少し変わった世界でやった方が、訓練になると思ってさ」
…当然、ジタンとスコールはそんな話をしていた覚えは無い。
口裏を合わせろ、ということなのだろう。
…しかしこの会話が、彼の苦手なものに、どう絡むというのか。
バッツは続ける。
「どっか変わった世界とか、場所を知らないか?」
ウォーリアは、素直にその言葉を信じ、暫く考える様に目を伏せた。
ややあって、視線を上げる。
「変わった…と言われてもな…。例えばどのような?」
「そうだなぁ…」
バッツはすっとぼけて、視線を明後日に向けた。
「『星の体内』とか…。出来れば足場が悪くてまともに立っていられない所がいいな。滑るっていうか…一面氷の洞窟みたいな」
瞬間。
ざあっ、と。
ウォーリアの剥き出しになった腕の皮膚が粟立つのを、ジタンとスコールは、確かにその目で見た。
「…済まないが…」
深呼吸。
あからさまに自分を落ち着ける為の呼吸の後、ウォーリアはバッツにそう言った。
「そっか…。呼び出して悪い」
「いや…」
去って行くウォーリアを、ジタンとスコールは、ぽかん…として見つめ…。
「な?」
と、得意気に振り返るバッツに、2人は点になった目を見合わせた。


SSSTOP

3/16追記
メタネタ。
FF1「こおりのどうくつ」の無理ゲーっぷりが、プレイヤーのトラウマだという噂を耳にして。
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