深夜、鐘楼にて | ナノ
 
時間を操る魔女、その魔女の城、鐘楼にて、魔女は別世界の皇帝に問う。
結局のところ、あの若い義士が気に入っているのではないのですか? と。
「…ふん。…気に入らん、と言った覚えはないが」
魔女は言う。
あら。それは失礼。
時の止まった城では、月の光さえもねっとりと凍り付いている。
凍り付いた月光の下、魔女は言う。
けれど貴方が人を気に入るなんて珍しいですね。と。
「ほぉ、そうか? 私は存外、コスモスの戦士達が気に入っているぞ」
魔女は笑う。
あら、存外と自覚していらしたのですか。と。
凍り付いた月を見上げて別世界の皇帝は哄う。
吼える様に、哄う。
「順応な者も嫌いではないがな。ああして歯向かう手合いこそ、いざ屈すれば忠実なものだ」
そうして月から視線を外した皇帝は、次に魔女を見て静かに笑った。
「だからそなたも気に入っているぞ」
「コスモスの戦士達の次に、だがな」
魔女は笑う。
まぁ、と、笑う。
そうして、言う。
嫌な方ね。
時の魔女の城。その鐘楼にて。
夜は凍り、月光は凍る。


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