Twitterクラウド総攻め企画フリーSSS | ナノ
 
Twitterで始まった25年7月クラウド総攻め企画に投稿したSSSを詰め込んでおきます。
特に掛け算にはなっていないとは思うのでこちらに上げておりますが、一応閲覧の際にはご注意を。
お気に召しましたら、どうぞご自由にお持ちください。



(対1)
その戦士は事実、戦うことしか知らぬ様だった。
「…あんた、意外と無垢なんだな」
「さて…。そう言われたのは初めてだが」
「…あんたは何も知らない」
…その戦士はふと、困惑の表情をした。
「…そう…思うか?」
「安心してくれ。守れると思うから」


(対2)
「っあいつを許さない!」
そう言う義士は地に膝をつき拳を握り震えていた。
そんな義士の姿は痛ましかったが、それよりも悲しさと愛おしさが勝り、可哀想だとその頭を抱え引き寄せてみれば、俺より背の高い義士は案外簡単に俺の腕の内に収まった。


(対3)
強いですよね、羨ましいです、なんて。
完全にやきもちの表情で言われたら笑ってしまうじゃないか。
安心しろ、護るべき姫の居る騎士は強い。俺にお前達が居るみたいにな、と言えば面白いくらい真っ赤になるから思わずほっぺたを摘まんでみる。
ぷに。


(対4)
思い悩むのは互いの悪い癖だが、こいつはそれが顔に出易い。
その上自分が悩んでる癖に他人の情緒に聡いから困ったものだ。
俺は独りで俯くセシルの背に背を合わせて嘆息する。
「…クラウドって、こういうの聡いよね…」
…お前が顔に出易いだけだ。


(対5)
こいつにも昔色々あったのだと思う。
3枚目を演じる顔に時折落ちる影が、語らずともそれを伝える。
「何だよ〜?そんなに見詰められたら照れちゃうぜ」
「…強がるな」
言ってやれば苦笑いと沈黙。
…それでいいんだな?
なら俺も黙ってお前の傍に居る。


(対6)
自分の力を恐れ、力の暴走を恐れる、なんて。
どうにも全く、駄目な所が俺と似ている少女だな。
そんな無防備に見上げてくるんじゃない。
俺は何もしてやれないからな。
「助けてくれて、ありがとう!」
…。
まぁ…助けたり守ったりするくらいなら…。


(前作が気に入らなかったので対6その2)
力が怖いと言う彼女は、一見すると確かに酷く華奢で脆い少女だった。
…だが。
「あんたは、俺が手を引き背に庇う程弱くはない」
言った途端、彼女の大きな目が潤んで…。
「優しい、のね」
俺は肩を竦めた。
「事実だ」
だから後ろではなく俺の隣に来い。


(対バレット)
単純だな。なんて言えば怒るだろうから、何かにつけ必死になれるその大きな背中と、自らの罪である銃の腕を後ろからただ見詰めてやる。
「…馬鹿だと思ってやがるだろ」
振り返った大男に、僅かに肩を竦めて。
「あんたの実直さは割と気に入っている」


(対エアリス)
割と男の扱いが上手い奴だと思う。
男からの誘いをひらりひらり、かわす手練は蝶に似ている。
土色の街の中を、ひらり、ひらり。
桃色の蝶。
留めたければこうすればいい。
逃げる手首を掴んでしまえばいい。
「わぁ、大胆!」
無論だ。逃がすものか。


(対ティファ)
食堂のカウンター内でくるくると働く幼馴染みを、妙に満ち足りた気分で眺めていた。
華やいだ場所でもないし、飾り気も何も無いが、多分それで丁度良いんだろう。
「なあに? さっきからずっと見てるけど」
「…指輪のサイズ何号だ?」
「っふぇ!?」


(対レッドサーティーン)
クラウドみたく強くなりたいよ。
そう言って傍らに伏せた赤い獣の背に手を置いた。
何の為にだ? なんて。ちょっと酷な問いだったろうか。
「…そうだね、ごめんよ…」
そう呟いて耳を伏せる獣のその素直さは、俺には持ち合わせのない強さなんだけどな。


(対ユフィ)
こいつは一旦好意を持ったらとことん押す性格らしい。
煩い、離れろと言うがいつもお構い無しだ。
「ねークラウドー!」
…ああ煩い。
思い余り口を塞いでやろうと指で顎を掬った。
「黙るか? それとも口を塞がれるか?」
「…塞がれたい、です」
…よし。


(対シド)
昔、夢を追い上京した俺は、夢に向かう今のこいつと同じ目をしていた。
「なぁ、いつまで夢を追うんだ?」
「あん? ずっとに決まってんじゃねぇか」
…必ずそう言ってくれると思っていた。
「…じゃあ俺はあんたを追うかな」
「…何言ってやがる…」


(対ケット・シー(リーブ))
面倒くさいお人やなぁ!
そう言って、しかし楽しそうにそいつは笑う。
「あんただって面倒な奴だろう。話くらい縫いぐるみを使うな。自分で出てこい」
縫いぐるみは爪の無い手で頬を掻いた。
「…あかんわぁ…照れてしまいます」
ああ知ってる。出てこい。


(対ヴィンセント)
罪に囚われたお前に、前を向くことを教えたのは俺達なんだろう?
「…確かに私はそう言った。だが――」
前を向いて進むことは実は大変だ。1度の旅で全て理解できる訳がない。
「…それはそうだが…しかし…」
まだ教え切れていない。俺の側を離れるな。


(対ツォン)
あんたも損な役回りだな。
そう言っても全く動かない鉄面皮に、俺の方が苦笑をする。
「今の役職は気に入っているのでな」
「役割の間違いだろ?」
揶揄すれば、やっと少し、表情が動いた。
「…何が言いたい」
「お前達くらいなら背負えると言いたい」


(対ルード)
強面の癖に茶目っ気があって、且つ不器用が解り易いのは、こいつがそれを隠していないからだ。
「…もう少し器用に成れないのか」
「…お前には言われなくないな」
はは、全くだ。
「…だが」
ん?
「確かにお前は、俺よりは器用だ…」
…本当に、不器用。


(対レノ)
どうして会社や社長しか守らないんだ? あんたならもっと他のものも守れるだろう。
「へへっ。お前じゃないが興味ないんだぞ、と」
そうか? それは残念だ。
俺が守ろうとしているものの中にはあんたも含まれているんだがな。
「…それっ…て……?」


(対イリーナ)
「やっと見付けたわ! 今度こそ覚悟しっ――」
…口上途中で派手に転んだ彼女に、俺は反応に困る。
「…大丈夫か?」
声を掛けてみれば
「くっ、敵に情けを掛けられるなんて…!」
…と来たもんだ。
全く。
折角の綺麗な顔に傷なんか付けるな。
「へ!?」


(対ルーファウス)
「力を貸してくれ」
断る。
俺は車椅子のハンドルに手を掛けて要求を跳ねた。
「…だが、介助と言う意味なら受けてやる」
「手厳しいな」
元社長は愉しげに笑う。
「では試しに、頼んでみるとしようか」
…了解。
俺は乱暴に車椅子を蹴って向きを変えさせた。


(対セフィロス)
あの時英雄だったあんたの背を追っていた俺に、今度はあんたが執着する。
そこに後ろ暗い悦びが無いとは言わない。
「追ってこい」だなんて。
追って来て欲しいんだろう?
俺が追わなければ、追うように仕組むんだろう?
…嗚呼、ぞくぞくする…。


(対ザックス)
剣と共に夢や誇りを、俺にくれるとお前は言った。
渡された大剣と共に、お前の夢や誇りは俺の物になった。
願っても手が届かなかったお前は友人という立場を経て、今やっと、俺の物になった。
…本当は。
形の無いものでなく、隣で笑うお前が欲しかった。


(対ジョー)
「ヘイ!」と声を掛けられても、俺は振り返らずレース用の巨鳥に鞍を乗せた。
「今日は勝つぜ」
こっちの台詞だ。
俺は口角を上げ振り向いた。
「ならあんたが勝ったらこいつをやる」と、巨鳥を示して。
「…俺が負けたら?」
「あんたが俺の物になれ」


(対エスト)
「highクラウド。調子良いのね」
馴染みの顔に俺は笑う。
当然だ。負ける気はしない。
「あら素敵。なら次のレースもクラウドに掛けるから、勝ったら私に何か頂戴?」
構わない。
だが俺も勝ったら欲しい物がある。
「あら何?」
あんたに決まってるだろう。 

(対8)こいつはこと対人関係では口も頭も回りが良くないから、俺は殊更沈黙してこいつの目に注意を向ける。
…目は口程に物を言う、とは良く言ったものだ。
「…クラウド」
「ほらポーション」
驚いた顔のそいつに思わず口角が上がった。
ふ…お喋りな奴め。


(対9)
そいつは随分と達観した印象がある反面、酷く脆く見える時があった。
…けれど多分、本人はそれに対して差し伸べられる手を良くは思わないだろう。
だから俺はただ黙って1度、肩に手を置いてその場を去る。
「…ちぇ、2枚目め…」
「ふ…それはお前だ」


(対10)
愛情に恵まれなかったのか。
甘え方を知らないそいつは、人付き合いが下手な俺に対してでさえ過度に距離を詰めたがる。
「クラウドってばー」
それを鬱陶しいと思うよりも先に哀れみから来る愛おしさが先立って、俺は頭頂部だけ色の違う髪を撫でた。


(対11)
世界最強を誇る黒魔導士を連れにして、俺の出る幕等無いのだろう。
…戦闘では。
「博士、湯が湧いた。使ってくれ」
「…デリカシーのないコですこと」
…俺は肩を竦めた。
「旅先でデリカシーも無い。それにあんたは女性だろうが。綺麗で居て欲しい」



バッツ祭の数の少なさを反省してちょっと頑張ってみました。
…が、思った以上に大変でした…。
もうやらない…。


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