無題 | ナノ
 
赤茶けひび割れた土地に、木製の粗悪な建物が寄り集まって申し訳程度の町ができている。そこの中心、装飾は無いものの存在感を放つ薄汚い酒場のウェスタンドアが叩き開けられた。
煙草の煙とアルコールが充満する店の中、雑な作りのテーブルを囲んでいた屈強な男たちがそちらをギロリと睨み付ける。それを平然と受け流し、大股で店に入ってきたのはやや小柄な青年だった。その後ろから、野生の鷲を思わせる鋭い眼差しの背の高い青年と、華奢な少年、と言われても違和感を感じさせない雰囲気を纏った少女がついていく。
ウェスタンブーツで傷んだ木の床を蹴り付けるようにしてまっすぐカウンターへ向かった小柄な青年は、テンガロンハットの下、緑と青の入り交じった不可思議な色の瞳を酒場のマスターへと向けた。

「……注文は」
「スカル・ベンダーとラトルスネイク・ピス、…ティナは」
「コーヒーフロートがいいな」
「…だそうだ」

背の高い青年が、腰に下げた皮袋から硬貨を出しカウンターに乱暴に置く。それを一瞥した禿頭のマスターは、2つ出したショットグラスにやや濁った酒を別々の樽から適当に注いだ。次いで背の高いコップにコーヒーフロートを作り、ストローと共にカウンターを滑らせる。
カウンターに寄りかかり酒を舐める青年2人の目の前の擦りきれたスツールに座り、ストローをコップに刺して飲み始めた少女に、ふと影が落ちた。

「随分乳臭いモン飲んでんなぁ、嬢ちゃん」

店の隅でポーカーに興じていた数人がどっと笑う。グループなのだろう。その笑い声に気を良くしたか、少女に声を掛けた巨漢は下卑た笑顔を浮かべながら言葉を繋げた。

「ここはアンタみたいなガキが来る場所じゃねえぞ。ガキはさっさとママのおっぱいでものんでネンネし」

な、の言葉はリボルバーが回る音に掻き消された。
巨漢の顎に押し付けられる銃口。細い指が引き金を押さえている。テンガロンの破れた鍔の隙間、翡翠色の大きな瞳が不快感を隠しもせずに男を睨み上げる。

「…図体ばかり大きな木偶か」
「……ティナ、ほどほどにな」

カウンターに寄りかかったまま苦笑する青年2人に、少女はこくんと頷くとくわえたストローでコーヒーフロートを吸った。
巨漢が動けずにいる中、彼を助けようとでもしたのかグループの1人が立ち上がって喚いた。

「テメェ、ウチのリーダーに銃向けやがっ」

ガゥン…!
米神を撃ち抜かれた男が横倒しになる。硝煙を上げるのは、背の高い青年が持つ銃。抜いた素振りすら見せずに撃った彼は、薬莢を投げ捨てるとまた酒を舐め始めた。

「フリオニール……」
「……あっちが悪い」

拗ねたような彼に苦笑し、少女に銃を突きつけられたままの巨漢を、不思議な光彩の瞳が表情をのせずに見た。



――――――

取り敢えずフリオにはウィンチェスターライフルのソードオフとスタームルガー・ブラックホーク(早撃ちに向いた銃)を持っていただきたいです。ティナちゃんは無難にコルト・パイソンかな。
ちなみに作中でフリオが飲んでるのはラトルスネイク・ピス(ガラガラ蛇の頭と一緒に漬けて、風味付けに噛み煙草と火薬が入ってるスコッチ)、クラウドが飲んでるのはスカル・ベンダー(飲んだ翌日に頭が割れるように痛むスコッチ)です。 







妄想にて、267西部劇妄想を晒しておりました際、颯人様が再びそれを文章に書き起こして下さいましきゃああああああああああああああああああああああっ!!
これはヤバいっ!!
るて殺しに掛かられてます萌えです有難うございます有難うございますっ!!

どうしましょこれどうしましょっ!?
くはああっ!
本文の3人がもう思いっきり格好良くてにやけてしまうというのに、本文からのこの拳銃と酒の設定っ!!
萌えが! 止まらないっ!!

颯人様、本当に本当に有難うございます!
るては幸せですっ!!


頂き物


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