短編 | ナノ

 1*

「ねぇなったん、キスしていい?」
「は?ころすぞ」
「うぅっひどい!僕がなったん不足で消滅してもいいって言うの?!」
「うるっせえな…いちいち聞くなっつってんだよ」
「!!なったん!すき!!!!」
「わっ、馬鹿っ、」


===============
ねえ、すきだよ。2
===============


キスをしながら穴だらけの耳を触ると、なったんはビクリと肩を揺らした。

相変わらずここ弱いんだなあ、と内心ほくそ笑む僕は、正真正銘なったん大好き人間です。



今日は、両親の帰りが遅いというなったんのおうちにお邪魔している。


「ここ俺の部屋」、と通されたあと、そりゃもうナチュラルにベッドに腰掛けたなったん。

どこに座ればいいものかと考える僕に、不思議そうな顔で自分の隣をぽんぽんと手でたたくなったん。



…それはね、座るしかないよね!



好きな子のベッド。好きな子の隣。



それはね、ちゅーするしかないよね!




だってやばいよ?!どこもかしこもなったんの香り!


しかも目の前には、まぶたを閉じて僕のキスを受け入れるなったん!!!



「うぁっ、ンなとこ触んな…!」
「なったん腹筋割れてるーかわいいー」
「はぁっ?!カッコいいの間違え…は、」


なったんのシャツをめくり、なったんのお腹をつつつと触ると「やめろ」と怒られた。だけど止まんない。


「く、おまえ、」
「んーふふ?なったん乳首たってるよ?」
「うるせ…」


細い細い眉毛が心なしかへなってなってきた気がするよ。


「ね、なったんココもかたくなってるね?」
「っ、おまえだって、そーだろうがっ」
「ふふ、当たり前でしょー、なったん見ただけで勃っちゃうもん僕」
「変態ッ…」



なったんのを触ると完全に勃っていて、それを認めちゃうなったんが可愛い。最初は「勃ってねえ!!」って絶対に認めなかったのに。

まぁそれはそれで可愛かったんだけどね?




なったんのを扱くと、力が抜けたみたいにとろんという顔になった。もうここまで来ると、なったんはすごく従順。

「ほら、真ん中行かなきゃ?」と囁くとずるずると身体を引きずるようにして動いて、真ん中に寝てくれた。




下だけ全部脱がすと、なったんは腕で顔を隠した。隠れていない耳が真っ赤ななったんが、心底愛おしい。


「う、」
「うわー、ぬるぬるしてるよなったん、恥ずかしいね?」
「、」
「僕のもやばいけどねー」


僕も下だけ脱いで、なったんの上に覆い被さった。そしてなったんの腕を外し、そっとキスをする。


「んっ、」
「なったん、」
「は、…、う、」
「、好きだよ」


唇をついばむように、何度も角度を変えてキスをすると、なったんがちろりと僕の唇を舐めた。

これはなったんの「早く舌入れろ」の合図だと知っているけど、僕はあえてそれを無視する。


「田中っ、」
「んー?」
「…、」
「…」


なったんはキスをする僕を止めて、じっと下から僕を見つめる。…この顔に僕が弱いことを知ってるんだか知らないんだか。


「深いチューしてって素直に言えばいいのに」


僕はなったんの薄い唇をぺろりと舐めたあと、舌を入れた。なったん、めっちゃあっつい。


「ぅあ!」
「ここもほぐさないとね」
「馬鹿やめろ…、」
「だって辛いのはなったんだよー?」



なったんにキスをしながら、僕のが入るようにと広げていく。

なったんの圧し殺す声がなんとも言えないセクシーさで、僕のテンションはぐんぐん上がってそりゃもう大変。


「な、田中おまえ、気持ちい?」
「何が?」
「セックス」
「え、何急に。気持ちいよ?」


待って、なったんもしかして、僕とのエッチに不満でもあるの?!それは由々しき事態…。いつもすごく気持ちよさそうだけど…?


「俺もそっち、してみたい」
「へ?」
「挿れるほう」
「………へ?!?!?!」


衝撃的すぎて、一瞬なったんの中に入れていた指が止まる。僕の顔、多分やばいよ。だって、だって、だって!!!


「なったん、もしかしてきもちくなかったの?今まで」
「…あっ」
「んなわけないよねえ、ココ触ると声出ちゃうくらいきもちいもんね?」
「ちょ、やめ、う、」
「挿れられるの、好きでしょう?」


なったんは眉間にしわを寄せて、快感に耐えているようだった。あー挿れたい。あー挿れたい。


「っ、俺のこと、好きなんだろ?」
「へ?好きだよ。大好き!!!」
「じゃあいいだろ?」


そういう問題?!


戸惑う僕をよそに、なったんは身体を起こした。そして僕を力任せに寝かせる。なったんのばか!痛いからね?!


「なったん、急に何で?落ち着こ?ね?」
「急じゃねえし別に。」
「だってそんなそぶりなかったでしょ…」
「…俺だっておまえが感じてるとこ、ちゃんと見てえ」
「!!!」


おまえ、上から俺のことすげえ見てんじゃん。となったんは付け足した。


可愛い!可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛いー!!!


「なったんなったん、でもさ、僕挿れられたことないじゃん?」
「おう」
「最初って痛いじゃん?そしたら僕が気持ちいとこは見られないんじゃないかなー?って」
「確かにいてえな…けど初めから気持ちかった」
「…」


そういえばそうですね。流されなったん、気持ちかったから流されたんだろうしね。

あー可愛い!…じゃなくて!


「ほら、最初は時間もかかるしさ?それはまたの機会にするとしてさ?じゃあなったん、上になったら?」
「上?」
「挿れてるのは僕だけど、主導権はなったん。なったんが僕のこと気持ちくしてよ」


どう?と僕。頷いて!お願いだから!


「…それもそうだな」


納得してくれたのか、なったんは僕にまたがった。待って!初めてだよ!騎乗位!待って!!!!!!!


「自分で挿れられる?」


僕は半分身体を起こして、なったんをうかがった。


「…手伝え」


なったんは僕のをつかんで、入口にぴとりとつけた。あああやばい、この図だけでイけそう。


僕は少しずつ腰を浮かせて、なったんに入ろうとする。けどなったんが逃げるから、僕はなったんの腰を掴んだ。


「てめ、」
「ほら、なったんが攻めるんでしょ?」
「うるせ、」


ゆっくりと腰を落としていくなったん。じれったい。すごくじれったい。けど僕の上で顔を真っ赤にしながら自分で挿れるなったんの激レア感!もうやばいね。


「くっ、はいった」
「じゃ、動かないと」
「馬鹿、」


下から小さく突き上げると、なったんは分かりやすくビクビク震えた。挿れたばかりで苦しいのもあるんだろうけど、その顔がとろけているからもうすでに気持ちいんだろう。


「なったん、やらしー」
「おまえも、な、」
「だってなったんが攻めてくれるなんて興奮しないほうがおかしい」


まぁまだ攻めてもらってないけどね?といじわるく笑うと睨まれた。


「うわっ、なったん…、!!!!」


半分身を起こしていた僕の肩を押して寝かせたなったんは、突然激しく腰を振り始めた。


「ぅ、う、」
「は、なったん、気持ち…っ」
「あっ、俺も…、っ、っ、」
「なったん、…なつき、」
「くっ、名前呼ぶんじゃ、ね、」
「那月っ、」


だって、愛しくてしょうがないんだよ。

声を押し殺しながら、涙をあふれさせながら、僕の上で僕を気持ちくさせようとしてくれるなんて、可愛すぎて、もうだめだ。


「那月、」
「う、」
「僕の顔、見える?」


気持ちいよ。那月が気持ちくしてんだよ?でも多分、僕の声は届いていない。

だってすごい気持ちよさそうな顔。

僕ももちろん気持ちいけど、それ以上に那月自身の快感を求めるのに必死になってる気がする。

現に、気持ちいとこにぐりぐり腰を押し付けては、はぁ、と恍惚の表情を浮かべる彼。


「気持ち…っ」
「ここ?那月、ここ?」
「あ、そこ、」
「だよね、ここ好きだもんね?」
「あ、あ」
「やば、締めすぎ、」


下から突き上げると、それに応えるようにして押し付けてくるからすごく奥まで入っちゃって。



あー、もう、


やばい。




「ね、那月、僕イっていい?」
「は?、くっ、」
「ねえ、いい?」
「っ…、いちいち、聞くんじゃ、ね、あっ」
「那月、すき、好きだよ、好き、好き、好き、」
「〜〜っ!!」


那月、腰を掴んで、奥の奥まで届くようにと僕は射精した。




「は、は、は、」
「ふふ、なったんもイッたね?」
「…」




ばたりと力尽きて、僕の上ではーはー言うなったんも可愛いよ。


好きだよ。


愛してるよ。




…けれど我に返ったなったんに、「話がちげえ」と殴られるのは、数十分後のお話。




おわり。

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