短編 | ナノ

 2

遅くなってしまったけれど、俺の名前はさとる。高校2年生。

みんな"悟"って漢字で書きたがるけど、あくまでも俺の名前はひらがな。

仲がよくなると大抵、「敢えてひらがなってのがお前っぽいよな。」って言われる。なんでだ!




少しすると、隼人はパタンと読んでいた本を閉じた。


「読み終わったの?」

「いや、集中出来ねえからやめた。」


眼鏡を片手で外し、もう片方で眉間をぐりぐりとマッサージする隼人。


「お前、うるせえんだもん。」

「え!?だから俺、静かにしてたじゃん!」

「視線がうっぜえんだよ、ばか。」


グーに握った拳で頭を叩かれた。

コツン、て音がするくらい軽くだけど。


「仕方ねえから構ってやるよ。」

「!」

「はい、肩マッサージ。」

「!!」


やったー!隼人に触れる!


…基本的に俺、ポジティブですからね!


「あ、そういえばさ、」

「…もうちょい右。」

「…ここ?」

「あぁ。」

「気持ちい?」

「あぁ、気持ちいぜ、さとる。」


!!!

なんか隼人が言うとやらしく聞こえる…ってか俺の耳が勝手に変換してるだけ?


「で、何?」

「え?なにが?」

「お前、何か言いかけたろ?」

「あ!そうだそうだ!あのさ、修学旅行、のことなんだけど…」

「あぁ、もうすぐだな。」


そう。もうすぐで俺の学年は修学旅行がある。

神社だか寺だか分からないけど、まあそういうものをクラスで巡るらしいんだけど、

最終日。これが重要。


「自由時間あるでしょ?」

「あぁ。」

「一緒にまわらない…?」


好きな場所に行っていいという自由時間があるのです…!




prev / next


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -