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遅くなってしまったけれど、俺の名前はさとる。高校2年生。
みんな"悟"って漢字で書きたがるけど、あくまでも俺の名前はひらがな。
仲がよくなると大抵、「敢えてひらがなってのがお前っぽいよな。」って言われる。なんでだ!
少しすると、隼人はパタンと読んでいた本を閉じた。
「読み終わったの?」
「いや、集中出来ねえからやめた。」
眼鏡を片手で外し、もう片方で眉間をぐりぐりとマッサージする隼人。
「お前、うるせえんだもん。」
「え!?だから俺、静かにしてたじゃん!」
「視線がうっぜえんだよ、ばか。」
グーに握った拳で頭を叩かれた。
コツン、て音がするくらい軽くだけど。
「仕方ねえから構ってやるよ。」
「!」
「はい、肩マッサージ。」
「!!」
やったー!隼人に触れる!
…基本的に俺、ポジティブですからね!
「あ、そういえばさ、」
「…もうちょい右。」
「…ここ?」
「あぁ。」
「気持ちい?」
「あぁ、気持ちいぜ、さとる。」
!!!
なんか隼人が言うとやらしく聞こえる…ってか俺の耳が勝手に変換してるだけ?
「で、何?」
「え?なにが?」
「お前、何か言いかけたろ?」
「あ!そうだそうだ!あのさ、修学旅行、のことなんだけど…」
「あぁ、もうすぐだな。」
そう。もうすぐで俺の学年は修学旅行がある。
神社だか寺だか分からないけど、まあそういうものをクラスで巡るらしいんだけど、
最終日。これが重要。
「自由時間あるでしょ?」
「あぁ。」
「一緒にまわらない…?」
好きな場所に行っていいという自由時間があるのです…!
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