短編 | ナノ

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「なった〜んおはよ」
「…」
「なったぁーん」
「…」
「無視ー?そんなことされたら僕、なったんの恥ずかしい写真をなんとかチャンネルにうっかり流しちゃうかも」
「あぁ?!お前しばくぞコラ」


あ、恥ずかしい写真を僕が持ってるっていう認識はちゃんとあるんだ?


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ねぇ、すきだよ。
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学校に着くと、なったんは既に席に座っていた。不良のくせにちゃんと朝学校来るんですねアナタ。と思わなくもないけど、僕としては朝からなったんに会えるのは嬉しいので余計なことは言わない。うん。正しい判断だ。


僕を不機嫌な顔でギロリと睨むなったん。僕も負けじとなったんを見つめる。あ、もちろんありったけの愛を込めて!!


なったんというのはマイスウィートハニー、素直じゃないけどそんなとこも可愛くてウフフフ…毎日僕に萌えをくれる神様。


開けすぎでは?と思うくらいにはだけたシャツに、ボタンの意味わかってます?って聞きたくなるような全開の学ラン。そしてお決まり、腰パンっていうの?もはやパンツ見えてるんですけど。

耳はピアスが片手では足りないくらいついてるし、髪だって赤に近い茶色だし、すっごいつり目だしっていうか眉毛細すぎて認識できないし?

THE不良!のなったん。


でも。

「その呼び方やめろっつってんだろ」
「なったん、今日も可愛いね?」
「〜?!はあ?!お前何言ってんの?!」


僕から見ると可愛い。可愛すぎる。今だってなんだかんだいって顔真っ赤になっちゃってるし。ほんとわかりやすい。


「お前目ぇ腐ってる!頭の次は目か!目なのか!まじで存在がキメぇ!」
「なったん超真っ赤!ツンデレ萌え!ううううう何なの何なの僕を殺す気なの!なったん好き好き大好き愛してる!萌えすぎてハゲるううう!」
「うーぜーえーーーー!離れろ暑い!」
「んふふーいい匂い」
「まじでお前犯罪級のキモさだからな、お巡りに捕まるレベルだからな!つーかまだ髪切ってねえのかよ変質者。もさもさじゃねえか…」
「床屋に回すお金が惜しい!!」


今月はゲームの新作やらアニメのグッズの発売日やらなにやらなにやら!出費が嵩むから髪の毛なんかに構っていらんないのだ。


「その前髪で前見えてんのかよ、見てるこっちがうっとおしいんだけど。俺のヘアバンド貸してやろうか」
「わーいつけてつけて〜」
「……やっぱダメ貸さねぇ!!」


えええ、何で?せっかく邪魔だった前髪をあげてもらって視界がクリアになったというのに!なったんが見やすいというのに!


でも"ダメ"って!可愛すぎるよ鼻血でるよ!


なったんは何故だか耳まで真っ赤にしながらヘアバンドをぽっけに突っ込み直していたのだった。


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