わたしにはなんにもないから



  やさしくないせかいのために
  きみはそういってわらってないた










  やさしくないせかいさんこんにちは





  かのじょのなまえは「   」
  けれどかのじょのなまえをしっているひとはあまりおおくはいない
  なまえもよばれずただこきゅうさえつづけていればそれでよかった

  ここにはとけいもまどもそふぁもなんにもない
  だからかのじょのからだはいつだってかたいべっどのうえにあった

  くすんだいろのかべがみはもともとなにいろだったのか
  かのじょにはもうおもいだすことはできなかったけれど
  ひびわれたてんじょうのどこからか
  ときどきひどくまぶしいひかりがあふれておちてくる

  それはきっときれいないろであってほしいとかのじょはわらった



  かのじょはそんなふうにしてこきゅうさえつづけていればよかった
  どうせならこのちいさなせかいにおしつぶされてきえるのもいいと

  けれどそのひはとつぜんにやってきた
  そうしてかのじょはこわれてしまった










  「久々のせかいはどうだい?ミス・ゴースト」

  牢獄の扉みたいな重いそれがノックされる音を聞いたとき、
  ちいさな少女はいつかぶりに泣いていた。

  これから来たる終焉とすこしの人間たちとかみさまに祈りを。
  そして今日までのわたしよどうかやすらかに、貴女よどうか、



  少女は微笑んで只ひとこと





  「とてもまぶしい」















  せかいで一番残酷なハローをきみにあげよう






  20120210
  20120427 加筆修正