「おはよう元希」

  俺の怠惰な瞼をノックしてめを醒まさせるのはなまえ、
  三百六十五日モーニングコールを欠かさないあいつのこえは、
  無愛想な携帯のアラーム音なんかよりよっぽど計算されてる。

  俺は気怠い欠伸を噛み殺しながら携帯電話を左手に持ち替えた。
  幼馴染の所為で役割を喪って其処に在るだけの目覚まし時計は、
  " 何時もの " 五時十五分を表示している。
  俺が刻限までたっぷり眠れるように計算された起床時間。
  (土日なんかにはこの時刻が微妙に調整されていたりする)

  よく出来た幼馴染が俺の寝坊遅刻を阻止してくれているのは一目瞭然で、
  あの姉貴でさえ「なまえちゃんに感謝しなさいね!」なんてのが口癖。

  家を出て自転車を引っ張り出していると、
  丁度隣の家からねむたそうななまえが出て来たところだった。
  めが合うとへにゃりとわらって俺に向かってちいさくてを振る。

  「おはよう元希」

  幼馴染のこの台詞を一日二回聞くのはもう殆どふたつめの日課のようなものだった。
  俺は何時ものようになまえを " 特等席 " に乗せて、
  しっかり掴まっとけよ―――出発数秒前にそう宣告して全力で自転車を漕ぎ始めた。

  なまえのたのしそうな悲鳴はやがて鼻歌に変わっていく。
  何故か曲のタイトルは決して教えてくれない、
  其の癖何時も独りでうたってるなまえのとっておきの唄。

  メロディーなんてもうとっくに覚えてるから、
  何時かきまぐれななまえに曲名を教えて貰ったらふたりで歌うのも悪くない















  20120429

  my favorite song (* ´・ω・` *)
  榛名くん歌上手そう……!
  真顔で歌ってたらちょうかわいい