Salvage.


シャンデラ


夜。みんなが寝静まった頃、シャンデラとそのパートナーである菜那子は街から離れた草むらにやってきていた。

「今日は何をするの?」

「しゃんしゃん!」

「うーん…?」

シャンデラは何をするでもなく、菜那子の手を取って草むらの中に入っていく。草むらの中では寝ているポケモンがびっくりしたり、夜行性のポケモンが飛び出してきたりしていた。

「シャンデラ、楽しそうだねぇ」

「でらっしゃん!」

シャンデラは楽しそうにくるくると菜那子の周りを回っている。それを見たパートナーは首をかしげながらも楽しいなら良かった、と笑っていた。

「しゃんしゃん!」

シャンデラはどうやら静かなところで散歩をしたかっただけらしい。ポケモンが出てくればもちろん、菜那子を守るために戦うが、それ以外はずっとパートナーに寄り添って楽しそうに歩いている。

「散歩をしたかっただけ?」

「しゃん!」

菜那子の言葉にうなずくように返事をすれば、彼女はなにそれ、と笑った。しかしシャンデラにとってこの時間はとても貴重なのだ。

昼間はいつも他のポケモンが必ず菜那子のそばにいるし、夜はいつも自分と彼女の一番のパートナーと一緒に他のポケモンを寝かせてるし。

しかもその一番のパートナーはしれっと菜那子のそばを陣取ってて、自分が彼女と2人きりになる時間がないのだ。

「しゃんしゃん!」

だからみんなが寝静まった頃にこうやって菜那子に付き合ってもらっているのだ。

シャンデラは必死にそう言っているけど、菜那子がシャンデラの言葉を理解することはない。ニコニコと笑いながら聞いているだけだ。

「……でも、最近はシャンデラと2人だけになることがなかったから、こうしてゆっくり散歩をするのも良いね」

「!」

菜那子の言葉にシャンデラはこれでもかと目を丸くした。言葉が通じているわけではないのに、菜那子に自分が考えていることが伝わったと感じたのだ。

「あれ、違った?」

「でらっしゃーん!」

困ったように笑いかけられて、そんなことない!という意味をこめて菜那子に抱きつけば、菜那子はそれを受け止めて、シャンデラをなでてくれた。

「いつもみんなの事、見てくれてるもんね」

「しゃんっ」

「ありがとう。助かってるよ」

「しゃんしゃんっ!」

菜那子の言葉にシャンデラは嬉しそうに彼女にすり寄る。菜那子はいつもみんなのことも見てて、自分のことはあまり見てないように感じるけど、そんなことはなかったみたいだ。

「さて、そろそろ帰らないと。明日は朝から予定があるから寝坊できないよ」

「でらっしゃん!」

菜那子がそう言えば、シャンデラは大人しく彼女のいうことを聞いて一緒に家に帰る。家に帰ればきっと彼女の一番のパートナーが待っていて、それからきっと2人とも怒られるだろう。

「がう!」

「ただいま、バクフーン」

「がうがう!」

「あはは。ごめんね。月が綺麗だったから思わずシャンデラと一緒にお散歩してきたんだよ」

案の定家に帰れば彼女の一番のパートナーであるバクフーンに怒られた。バクフーンは夜に外に出たことはもちろん、シャンデラと2人だけで出かけたことに不満を持っているようだった。

「ごめんってば。そんなに怒らないで?」

「ぐぅ…」

シャンデラと2人だけで出かけたことに関しては菜那子に気づかれるわけもなかったが。バクフーンは依然ムスッとした表情をしてシャンデラと菜那子を家の中へと引っ張り入れた。

「怒られちゃったね、シャンデラ」

「でらっしゃん…」

シャンデラが申し訳無さそうな顔をすると、菜那子はニパッと笑って気にしなくていいよ、とシャンデラの頭をなでてくれた。

「また今度、2人で一緒にお散歩に行こうね」

「しゃん!」

菜那子の申し出にシャンデラは小さく返事をした。その後中々部屋の中に入ってこない2人にしびれを切らしたバクフーンがまた怒ったのに菜那子とシャンデラは笑った。



オスでもメスでも問題ないですが、個人的にはメスのほうが美味しいです←



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