Salvage.


What he has won




ジェットファイアーおじいさんに助けられておじいさんがザ・フォールンから離れている時に話しかけてきてくれた。

<お前さん、もしや詩織か?>

「お久しぶりです。ジェットファイアーおじいさん」

<ははっ!そうかそうか!あいつの忘れ形見か!>

おじいさんはずっと動いていなかったからか、少し錆びているみたいだったけど元気そうだ。私の力で少しでも彼の錆を治してあげよう。

<む。お主その力は…>

「おじいさんがね、死ぬ時に近くにいたから…どうやら私の中にオールスパークが宿ったみたいで…」

<なるほど。オールスパークの力には及ばぬがトランスフォーマーたちは喉から手が出るほどほしいじゃろうな>

「うん。オプティマス氏の傷を治そうと思ったら、メガトロンに見つけられちゃって」

<そうかそうか。怖い思いをしただろう>

そう言っておじいさんは人がたくさんいるところへと下ろしてくれた。そこには黄緑色のレスキュー車と青いシボレーがある。

軍人さんが銃を構えておじいさんに向ける。黄色いレスキュー車と青いシボレーも変形しておじいさんに銃を向けてきた。そっか。おじいさんは目が赤いから敵だと思われてるのかも。

「あの、待ってください!」

「女の子?」

そう言って軍人さんは銃をおろしてくれた。おじいさんは私を軍人さんたちに預けると、飛び立とうとする。

<その子は我が同胞の忘れ形見だ。絶対に死なせてくれるな>

そう言っておじいさんは飛び立ってメガトロンたちの仲間をバッタバッタと撃ち落としている。

<お嬢さん、ちょっと良いかな?>

「あ、はい」

<君はサムが言っていた人間かな?>

「……多分、」

どんなことを言われたのかわからないけど。グッと一歩後ろに引き下がれば黄緑色のレスキュー車がゆっくりとしゃがんで目線をあわせてくれた。

<心配しなくても良い。君をどうにかするつもりはないよ>

「……、」

小さくうなずけば黄緑色のレスキュー車は表情を和らげてくれた。黄緑色のレスキュー車はラチェット氏と言うらしい。そして青のシボレーがジョルト氏。私も自己紹介をする。

守ってもらえ、っておじいさんは言ってたけど、今私はそれどころじゃない。いろんな視線が私に集まってきていて、すごく不快な感じだ。

<詩織、我々の仲間が2年前君に助けられたと言っているんだが、覚えているかな?>

「……多分、あの、バイザーの」

<そうだ。ジャズと言うんだがね。とりあえず戦闘が終わればここに来るらしいから話をしてやってくれないか?>

「それは…構いませんが…」

<それと、オプティマスのスパークは引き裂かれてはいるが、まだ彼は死んではいない。それは君がエネルゴンを彼に供給していたからだろう?>

君の身体からオールスパークに似たような反応がある。と言われた。まぁ…間違ってはいないからうなずけば、軍人さんたちがわっと盛り上がっている。なんだろうと思ってたら、気さくな軍人さんが肩を抱いて言ってきた。

「オプティマスは俺達NESTのヒーローだからな!助けてくれてありがとよ!」

「ジャズがなぁ、ずっとあんたのこと探してたんだよ。あんた、アメリカに住んでないだろ?」

「ずっと日本にいたので」

「だよなぁ!だったら見つからねぇよな!」

「ジャズ、あいつ喜ぶぜ!」

そう言って次々軍人さんにもみくちゃにされながら私はとりあえず、あの赤目地獄から帰ってきたのだと思った。

そうしていると、サムくんがオプティマス氏へと走っていっている。どうやらオプティマス氏を蘇らせる手段があるらしい。

ザ・フォールンが言っていたマトリクスだと思うけど、きっと彼はそれを狙ってくると思う。

「ラチェットさん、ジョルトさん」

<どうかしたかね?>

「サムくんを全力で守ってください。きっとザ・フォールンがマトリクスを奪いにきます」

<……分かった。ありがとう詩織>

<ありがとうございます!行きましょう、先生!>

そう言ってラチェット氏とジョルト氏は砂埃を上げながらオプティマス氏のもとへ向かう。するとサムくんたちがいるところへ空爆が行われる。人が飛んでいる姿を見かける。

「サム!サム!」

女性がサムくんを呼ぶ声が聞こえてくる。サムくんは空爆に巻き込まれてしまったらしい。目を覚まさないサムくんに(多分)恋人のきれいな女性が必死に彼に呼びかけている。

ーー彼はマトリクスを勝ち取った…

オプティマス氏の声と似たような声が聞こえてきた。きっと彼は死んでいない。マトリクスが、彼を死なせないんだ。

「彼は生きてます」

「え…?」

「でも目を覚まさないわ!」

サムくんの(多分)彼女は泣きそうになりながら私の方にすがってくるけど、ゆっくりと彼女を彼の元に連れて行って心臓部分を触れさせた。

「ほら。彼はマトリクスを勝ち取ったから…きっと彼は大丈夫」

そう言ったときだった。サムくんが息を吹き返したのだ。ゲホゲホと噎せている彼に彼女さんは嬉しそうに彼を抱きしめる。サムくんはハッとしてマトリクスを手にとってオプティマス氏へと使う。

「オプティマス!」

<サムか…君が助けてくれたのか…>

「僕だけじゃない。メガトロンと一緒にいた女の子も君が死なないように助けてくれていた」

<あぁ。全て聞こえていた彼女はいるか?>

「うん、あそこに…」

サムくんがオプティマス氏と話していると、後ろからザ・フォールンがオプティマス氏に向かって行く。

<マトリクスは俺のものだ!>

そう言ってオプティマス氏を押し倒した後、彼の胸にあるマトリクスを取り出してピラミッドの上の方へと向かう。ピラミッドの中からはよく分からない機械が出ていて、それを起動させようとしているみたいだ。


<オプティマス!その装備じゃあいつには勝てん!俺のパーツを使え!>

そう言ってジェットファイアーおじいさんはスパークのある部分へと手をのばす。何か言おうと思っても全く声が出ない。

What he has won
(彼が勝ち取ったもの)


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