ある朝突然届けられた黒い箱に家中がてんやわんやだった。
子供の両親と思わしきふたりが黒い箱を前に泣いていたから、あのかわいくない子供が死んだのかと思って一瞬焦った。
子供が外に出てきたのを見て安心したのは秘密だ。

その夜はいつもの子供がなぜか焼き魚を一切れ丸ごとくれた。
ありがとうって、何の話やら。
ようわからんが役得役得。

家中が振り回されたあの黒い箱の正体が知りたくて、家人が寝静まった家の中にこっそり入った。

家の奥に置かれた黒い箱、のそばに置いてある写真。俺は目を疑った。

「にゃあ」これ、俺だわ。いつのまにか子供が後ろに立っていた。

「にゃあ」じゃあお前あれか、チビか。

「にゃあ」連れて来い連れて来いって俺もうとっくに前に居たっつの。

「にゃあ」兄弟そろって鈍感か。

「にゃあ」あの猫がお前が助けた黒猫か。

「にゃあ」まじか。


気付いたらあの可愛くない子供が後ろに立っていた。可愛くない子供、改めチビが口を開く。
「うるさい」「そもそもなんで中に居るの」やべ、追い出される。

身を竦めた俺の予想に反してチビは俺を抱え上げた。
「ほら、さっさと寝るよ」
その声は少し震えていて、俺は今朝箱を抱えて泣いていたこいつの親の姿を思い出した。

なあ、俺らまともな面識ないだろ。なあ、なんでお前が泣いてんの。

「家族、だから」

ああ、そうかよ。


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