俺にも弟がいたような気がする。気がする、というのはたった今その存在を思い出したからだ。
どうにも人だったころの記憶が曖昧だ。
チビ、と呼んでいたので名はそもそも覚えていない。チビとすら数えるほどしか呼んでいないかもしれない。
生きていたらこんな年かね。
目の前の子供は妙に擦れたところがあってかわいくない。小難しい本を読んでいるのをよく見かける。いつもつまらなそうに澄ました顔をしている。
俺は俺で酷いワルガキだったが、こういう子供も子供で扱いづらそうだと思った。
しかしこの子供、兄さん兄さん五月蠅い。
人違いならぬ猫違いだ。俺はお前に助けられてなんかないぞ。恩着せがましい真似はやめろ。尻尾を引くな。やめろ。いくら言っても聞かないので鋭い一撃をお見舞いしてずらかることにした。

俺は子供が嫌いなんだ。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -