たくさんの人に愛されるかわりに一番好きな人に愛されない呪いのかかった少年少女の話。
好きな人の枕元にそっと膝をついて思い人の幸せを祈ったり、人知れず思い人と思い人の思い人との恋の仲立ちをするのが限界。
君が、幸せでありますように。


ケース1【ツンデレ】
照れ屋で、素直じゃない女の子。好きになった人は言葉を額面通りに受け取ってしまう堅物。彼は顔をしかめます。
「嫌い嫌いって、なんなんだ一体」
彼は少女の親友と交際を始めました。誰が見ても、お似合いです。
素直で優しくて、愛らしい親友と、格好良くて、一本筋の通った彼。
少女は伝えようとすることすらあきらめました。要らない気持ちは、ごっくん。
すき、は伝えなければないのと同じですから。
だぁれも、少女の恋を知りません。


ケース2【優秀】
何より大切な弟は、少年が大嫌いでした。いつだって優秀な兄、普通の弟。
両親のハグも好きな女の子も、みんなみぃんな兄のもの。
もう、しばらく話もしていません。
「兄弟じゃなければ、好きだった」
自慢の兄なんか、ただの重荷ですから。
弟の寝顔を見つめます。少年を見る弟はいつも憎しみで満ちていますが、寝顔だけは少年を責めません。


ケース3【小動物系男子】
「可愛いね」とよく言われます。一応、少年は男の子なのですが。幼馴染が好きでした。男勝りで格好良い幼馴染。彼女のおでこには、傷。
少年を庇ったときのものです。男なのに、守られて。
「お母さんもみんな、あんたばっかり!」
今彼女は、誰が見ても格好良い彼氏の横で、誰よりもかわいい。
鏡に映る小さくて弱っちい自分が、嫌いです。


ケース4【美人】
お母さん。呼ぶ声は無視されました。
お父さん。伸ばした手は振り払われました。遠くできこえる怒鳴り声。
「あいつはいったい誰の子だ!」
母は家を出て行きました。父は、仕事が忙しいそうです。
写真で見る忘れかけた両親の姿は、少女と少しも似ていません。
アーモンド形の大きな瞳も。美しい唇も。すぅっと通った鼻筋も、透き通るような肌も、少女だけのものです。
私が、少しでも二人に似ていたら。今よりは愛されたかしら?

ケース5【空似】
一目惚れでした。求められたことは多かったけど、初めて人を求めました。
けれど、拒まれました。
「あなたの顔が、嫌いなの」
昔の恋人に似ているんですって。愛していたのですって。思い出したくないのですって。
彼女の恋人を恨みます。死ぬなんてずるい、そんなの卑怯だ。
辛いのだと、苦しいのだと言われてしまえば、身を引くよりほかないじゃないですか。
この顔で生まれてしまった少年は、どうしたらいいのでしょう。
愛しい思い人は、今、少年と似ても似つかない男性の恋人です。ねえ。
俺が子供だからだって、言ってよ。
年のせいにしてくれたなら、諦めないでよかったのに。

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