「あのさ、」

三木が口を開いた。「何?」
「前さ、去年かな。秋。一回日直一緒だった」

唐突だな、と思う。
三木とよくつるむようになった今も、こういうところはまだ慣れない。
この話題の唐突さは同じくよくつるむようになった彼の幼馴染にも共通していて、二人のそういうところが多分幼馴染なんだろう。

とにかく、三木千種という男はしばしば唐突になる。
そして、三木千種が唐突な時は、いつもなにか核心に迫るようなことを言うときだ。

「あったけど、何」
「あの時お前、変なこと聞いてた」
「そうだけど、変っていうな」
「あれさ、わかった」
「何が」
「お前、ジャンクフード好きだろ」
「そうだけど。せめてファストフードと言え、ジャンク言うな」
「同じだろ。あと牛丼とか」
「牛丼をジャンク扱いするんじゃねえ」
「まあとにかく手軽じゃん」

話聞けよ。

「まあ、好きっつーか、よく食う」
「多分、そういう性格なんだよ。古橋」
「は?」
「俺とみゃーこはさ、米派だから」
意味が分からない。
「俺らはがっつりってこと。
でも古橋はさ、お手軽お気軽なオトモダチが多いだろ。賑やかしの」

「お前、なー…」
「賑やかしは失礼かな、まあでもそんなかんじ。」

あ、別にそれが悪いとかじゃなくて。傾向の話な。
そう付け足す三木は本当に思いついたことを言っているだけなのだろう。
核心に迫っておきながら核心を突かないのは三木の良いところだ。と思う。
(ただし図星を突かれるぶん、ものすごく心臓に悪い)

「まあたまにすっごく食いたくはなるけどなー。そういうの」
「だろ。ファストフードを馬鹿にすんなよ」
「馬鹿にはしてないよ。お前こそ米の旨さを軽んじるなよ」
「俺だって軽んじてはいないですー」

真面目な話の直後に、すぐ馬鹿話に移行できる。
そういう関係があることも、知らなかった。

「いーや軽んじてるね。お前は黙って米の旨さを思い知れ」
「はいはい」

米が旨いのは、もう知ってるよ。
(高2)

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