「今日〜の夕食はァ〜シーラカンス丼〜〜」

歌いながら閻魔は、鬼灯とななしが座っているテレビの前のテーブルへと座る。

テレビからは、テレビ番組のテーマ曲が流れている。

「あ、これ現世の番組?」

「そうですCSにすると見られますよ。この番組司会者の存在感が好きです」

いいなぁーヒトシ君…私も好きと言われたい…

「ハァー…しかしいいなぁ海外かぁ…ワシここ二千年くらい仕事以外で海外なんて行ってないしなぁ」

「私もです。魔女の谷とかゆっくり観光したいですね」

「あたしも、海外行きたいなぁ…」

はぁ、とため息つく私を見て

「ななしちゃん、今度ワシが休みの日に海外旅行にでも行こうか」

と、提案をしてくれた。おじぃちゃんは、行き過ぎた愛が無ければ普通に大好きなのに。

「ほんとですか?やったぁ!おじぃちゃん大好き」

「ワシもななしちゃん大好「あ、鬼灯様ご飯粒ついてますよ」

何でもないようにご飯粒を取りそれを食べるななしに鬼灯はおや、有難うございますと礼を言う。

「あれ…さっきまでのななしちゃん何処行ったんだろう……そしてワシの前でそんなラブラブしないでよ」

と呆れる閻魔を見てななしは、

「あっ…すみません鬼灯様…家で弟の面倒見たりしていたから…つい癖で…」

なんて恥ずかしい事をしたんだろう。ご飯粒を取って食べるなんて…と顔を赤くした。

そんなななしを見て鬼灯は、ほぅ、珍しい…こんな顔も出来るのか、と辱めたい衝動に駆られた。今度二人きりの時に、わざとご飯粒をつけようと思い立った鬼灯であった…。


「そういや君現世に出張した時よく動物園行ってるよね…アレ経費で落とすのやめてくれない?」

「実地調査です」

「そうだよおじぃちゃん視察なんだから許してあげてよ」

動物園は楽しい。鬼灯様一緒に居るから尚更なんだと思う。

「そ、そう…?ななしちゃんがそういうなら……あぁ、そうだ鬼灯君ななしちゃんがいつもお世話になってて悪いね」

「いえ、私は何もしていませんよ」

いつもくっついているななしでも、毎日くっつかれて疎ましくないのかと、罪悪感を感じる。だが、鬼灯はいつも大丈夫というのだ。

「鬼灯様本当に邪魔になったら言ってくださいね」

言葉では言わないがもしかしたらうっとうしく感じてるかもしれない…

「そうだよ鬼灯君。ななしちゃんが着いてたら彼女ができなくなっちゃうよ!君彼女は居ないの?長い付き合いだけど女の子の好みとか想像できないし」

「そうですか?私はななしさんが着いて回っても不快に思った事はありませんよ私も至って単純な男なので。あ、このコは割と可愛いと思います早めにこっちへ来て欲しいくらいです」

と、テレビに映る女の子を指さした。

「鬼灯様は、このような方がタイプなんですかっ!?」

テレビに映る彼女は綺麗で、鬼灯様と一緒になる道のりはもっと長くなったなとシュンとした。

「いえ、別に顔の好みはあまりないのですが……虫や動物に臆さない人が好きですね」

ななしは考える。動物や虫は好きだ。だけど、動物は触れるが虫は触れないのだ。Gは、唯一駄目な生物だ。あぁ、また道のりが遠くなってゆく…


「君デートとか何処行くの?」

たまには、ナイスな質問してくれるじゃないかおじぃちゃん!とななしは聞き耳を立てる。

「生きてる女性なら墓場へ。あの世にいる女性ならあのランドですかね」

あのランドとは、あのランドだろうか。とななしの頭に浮かんだのは異様にでかいネズミだった。まだ行った事ないなぁ…。

「おじぃちゃんあたしも行きたい!夢の国へ連れてって」

「おや、ななしさんまだ行かれた事無いんですか?」

「はい、家族でお出かけした事があまりないんです」

みんな忙しくてあたしはいつも坊ちゃんの面倒ばかりみてたしなぁ…。

「ん?…アレ?」

と、おじぃちゃんがテレビを見て目を丸くする。

「当たってる!?オーストラリア4日間の旅!!!」

「ほんとだ!凄いです!鬼灯様!!」

「閻魔大王!私有給頂きますよ!!止めても行きますからね!!」

「むしろワシも連れてけよ!!」

あ、それ私も言おうとした。

「嫌です!!」




おじぃちゃんは先に部屋に戻り、私と鬼灯様は返却口にお皿を返し廊下を歩いていた。

でも、鬼灯様も一人でゆっくりしたいですよねぇ…ここは我慢して鬼灯様が帰るまで家にでも帰省しようかな…と、考えていると、前を歩いていた鬼灯の足がピタリと止まった

「ななしさん」

「?……どうしました?」

「一緒に来ないんですか?オーストラリア」

一瞬鬼灯様の言ってる事が理解できなかった。まるで、来て欲しいというような言い方だったから。

「え?あ、いえ、鬼灯様もいつも私と一緒に居るの疲れるでしょう?だから、旅行は楽しんで来てください」

「そうですか。ななしさんも来ると思ったのでペアチケット応募したんですが、」

え、なにそれめっちゃ嬉しいどうしよう!!!

「行っていいんですか!?」

「はい、だからペアのチケット応募したんですよ」

歓喜極まって泣き出してしまったななしを見て、オーストラリアのランドに連れてってやるか、と思ったのはななしには内緒である。






そのあと、ランドに連れてったのはいいがこれがデートだと気付いていないななしに、ため息をついた鬼灯であった。



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