ガンッ

「おぶっ」

鬼灯が金棒で茄子を殴った所を見てななしは顔をしかめる。

何故茄子が殴られているかというと、うっかりワンセグを持ち込みワンセグから悪霊サダコが逃げてしまったのだ。

だが、鬼灯の早い対処により事は解決した。そして、今は不喜処のベンチにて休憩中である。

「不喜処地獄には慣れましたか?」

「はいっ先輩には色々教わってますっ」

「不喜処は動物が沢山いるから、シロちゃんも安心だね。シロちゃんは可愛いから是非お父さんになって欲しいな」

と笑うななしを見てシロは、じゃあななし様の所に行こうかなと言おうとした時ふと視線を感じて見てみると、鬼灯がこちらを睨んでいる。

俺ニワトリじゃないけど初めて鳥肌がたったよ…。

「シロー!アンタ報告書早く出しなさいよ!」

「あっはい…すみません…」

「申し訳ございません、でしょ!?早く覚えなさいよ!…………あっ!部長〜〜〜お疲れ様で〜す」

クッキーのシロと部長に対しての変わり様を見て切り替え早ッとななしは呟く。

「彼女は?」

と、鬼灯がシロに問う。

「不喜処のお局様です。お局は先輩には妙に厳しいんだけど…部長と喋る時は声がワントーン高く……」

と、シロは呟く。

「別に知りたくないんですけど…不喜処地獄の泥沼オフィストライアングル」

「私と鬼灯様はオフィスラブではないですよね?私働いてないですし…ノーマルラブ?あ、でもSMに入るのかな…?」

うーん、なんだろなーと首を傾げるななしを見て鬼灯はいう。

「いきなり何をバカな事言ってるんですか。私達は付き合っても居ませんしSMプレイをやった覚えはありません」

「え、SMプレイなんて…恥ずかしい…」

「いや、今貴方が自分で言ったんですよ」

「あれ?鬼灯様とななし様付き合ってないの?」

付き合っていないのなら、さっき感じた鬼灯の睨みはなんだったのか、とシロは思った。

「付き合ってますよ」

「付き合っていません」

そんな時

「あっななしたん!…と、鬼灯君!君達も休憩?」

「おじぃちゃんその呼び方やめてください。気持ち悪い!!」

ななしは閻魔の呼び方に肩を震わす。

「おじぃちゃん?」

と、シロが首を傾げる。

「あぁ初対面でしたね紹介しま「おいでおいで!お手!おかわり!」

紹介しようとした鬼灯だったが閻魔はそれを無視して、イノキの真似をリクエストしたりしてシロと戯れている。

閻魔の陽気な態度に腹を立てた鬼灯とななしは閻魔を殴る。

「シロさんこの方が天下の閻魔大王ですよ」

「そして私のおじぃちゃん!」

新しくできたたんこぶを痛めながら

「よろしく…ワシが閻魔じゃ…」

と、震えながら閻魔は言った。

「…げっ…元気ですかっ……」

「今あんまり……」

イノキの真似をしたシロに対して閻魔は正直に気持ちを述べた。







「さて、もう仕事に戻りましょう。シロさんも忙しいでしょう」

そうだよね、と言う閻魔に対し鬼灯は貴方がまず油を売ってちゃ駄目でしょうと注意をするが、

「かくいう私もこんな事してる場合じゃありませんね」

と、頭にぶどうジュースの缶をコンッと当てる。

「わぁ。大の男のお茶目ポーズだ」

とシロが言った。

思わずななしはその瞬間を写真に収めた。





「シロっ!アンタ報告書はどうしたってさっきも訊いたでしょ!?」

と、再びお局クッキー。

「あっごめんなさい……」

シュンとしているシロちゃんが可哀想だけど私が口出しする事ではない。

「オイオイ…何も閻魔大王とななし様の御前で…」

と、騒ぎを聞きつけたのか夜叉一がやって来た。

「言うべきことはどこでも言う主義なの!」

さすが、お局手強い。

「あれ…?あの……御二方って仲悪いんじゃ…ないんですか…?」

シロは首を傾げながら問うた。

「…どうしよ?言っちゃう?」

「そうだなぁ…予定より早いけど報告しちゃうか。俺達結婚します」

「アタシは寿退社しまぁす」

これを見てハッと思い立ったななしは、鬼灯の横に立ち

「鬼灯様…あたし達も報告しま「しません。付き合ってすらいませんから」




鬼灯様と一緒になるにはまだまだ道のりが長い。




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