「白澤様…有難う…私を愛してくれて」
僕は…
「なんか、私もう駄目みたい………ッ」
そう言って笑うきみ
「もう少しお側に居たかったな」
情けなくて声が出ない
「白澤様…」
そう言って僕に手を伸ばしたなまえ
今まで手を握り締めた事なんてなかった、遊びだったから温もりを必要以上に与えなかったんだ
「白澤様…ごめんね…私…最後の最後まで迷惑かけて…鬼でも死ぬ事があるみたい…えへへ…」
僕はなまえちゃんの手を握り締めた
あれ?温もりってこんなに暖かかったっけ?
「白澤様…こんな最後になっちゃったけど、私の事は気にしないで元気に過ごして…ね…」
喋るたびに冷たくなってく掌
「なまえちゃん…なまえちゃん…なまえちゃん…」
「や…だ…泣かな…いで…はくたく…様…」
「なまえちゃん…お願い行かないでよ…」
僕を置いて冷たくならないで
「白澤様…ありがとう…幸せに死ねる…」
残ったのは、まだ温もりが残る目を瞑った君の体と僕の泣き声
僕が自分の気持ちに気付いた時に君はもう居ない
僕がきみの手を握ったのは
言葉にならなかったからで、
誰にも渡したくなかったからで、
不安を消したかったからで、
やっと素直になれたからで、
きみが愛しいと気づいたから
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