今夜は満月だ。満月の日は何故だか外に出て月を見ながら散歩する習慣がある。私の住んでいる田舎は人口が少なくて、昼出歩く人は少ない。だから、夜歩く人なんて滅多に居ないから月を独り占めできるのだ。
「はぁ…今日しか会えないのね満月様…アンパンみたいで素敵よマンパンマン」
と、全然面白くないギャグを一人呟く。もしこれを誰かが見ていたらその人は思うだろう、こいつヤバイ人だ、と。
そんな事を思いながらトボトボ歩いていると見慣れない顔をした高身長の男が前から歩いてくる。
そして、すれ違う手前で彼はこう言った
「貴方、死相がでていますよ」
と。
いきなり、声をかけられびっくりしたが言われた内容の方がびっくりだ。
だって、そんなはずがない。
そんなはすばないのだ。
だって、
「私今日シソは食べていません」
シソは、お刺身と食べるのが一番おいしい。大好きだ。それにしても、余計なお世話だ。もしかしたら、シソを出しながら歩くのが趣味だって人も居るかもしれないのに。
「死に相と書く、死相の方です」
そっちか!と理解したが、私は動揺する。
「そんな…私まだ生きたいです助けてください…神様?」
「いえ、私は神ではありませんので」
でも、この人もしかしたら最近流行りのおれおれ詐欺の類かもしれない。そう言って色んなものを買わせて私から金を巻き上げる気だ、絶対そうだ。
「よくも、現れたな!このおたんこなづ…び!」
「神からおたんこなすびとは一気に落ちましたね、しかも今噛みましたよね貴方」
「じゅ、数珠は買わないからな!」
「私を何と勘違いしているんでしょうこの人」
「すべてお見通しだ!!その手には乗らな」「ブウォーン」「あ」
鬼灯が危ないと言おうとしたが、遅かった。
「今何か轢かなかった?」
「は?マジで?クリボーじゃね?」
「まぁいいんじゃね?行こうぜマリオ!」
「そうだなルイージ!飛ばしてくぜ!イヤッヒィィィィ!」
なまえが最後に見たものはカートに乗った赤い帽子と緑の帽子だった。
みょうじ なまえ死去。
お父さんお母さんお兄ちゃんありがとう。
お父さん…お兄ちゃんに罪をなすりつけたけどあの時ピーナッツ食べたの私です。一粒食べたらまた食べたくなって…気付いたら無くなってましたごめんなさい。
お母さん…小学校の時布団にお漏らししたのは私です。一緒のお布団で寝ていたお兄ちゃんに罪をなすりつけたけど本当は私ですごめんなさい。
お兄ちゃん…プリキュアは小さな女の子が見るものだよ。あと、アニメの主人公を勝手に嫁と呼ばない方がいいんじゃないかな。あと、お兄ちゃんに色々罪をなすりつけてごめんなさい。
ありがとう。さようなら。
「って、あれ?死んでない」
「いや、死んでますよ貴方」
「マジでか!?なんかめっちゃ感覚あるんですけど」
「ようこそ、死の世界へ」
「え?ようこそってなに?貴方も神様なの?」
「勘違いしているようですが、貴方は神ではありませんよ」
「え?違うの?」
この後、なまえは閻魔殿に就職し変な知識を色んな人に広げて地獄を謳歌した。
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