「では、また」
「は、はい」
また、と言った鬼灯様は私に罵声を浴びせるだけ浴びせ帰っていった。できれば鬼灯が言う「また」は一生来なくていいとなまえは思う。
「も、もしかしたら鬼灯様は私を殺そうとしているのかもしれない」
「呼びましたか」
「じぇじぇじぇ!!!鬼灯様…」
どうしてだろう。さっき会ってからまだ一分も経ってないような気がするのに何故また来た?もう一度言う
何故また来た?
しかも、さっき見たとき30m位距離あったのに、いつ来たんだこの鬼。
「いちいち分かりやすく嫌そうにしますね貴方。」
「ちちちち、違いますよ!」
嫌そうじゃなくて、嫌なんです!と言いかけそうになった。そんな事言ったら殺されちゃうよやべぇよ…。しかも、海女ちゃん少し古いですよという指摘まで頂いた。
「じぇじぇじぇ!!」
「いきなり叫ばないでください!!」
なんなんだこの人は!!!てゆうか、無駄にいい声だなこの人。びっくりだよ!私が拷問中だった亡者もビビってるよ!しかも、海女ちゃんの流行語てっきり自分も使ってるじゃねーか!!
「なんですか、何を考えているんですかキーボードみたいな顔して」
「え?待って、どんな顔ですかそれ。…ところで、鬼灯様なんの用ですか?またいじめにきたんですか?勘弁してくださいよ。仕事中ですよ?」
この鬼は暇があると私をいじめにくるのだ。
「いいではないですか。減るもんでもないですし」
「いや、確実に日々私の中の何かがすり減っていますよ」
あ、否定しないって事はまたいじめにきたんだ。あぁ獄卒で良かった。ストレスが溜まってもすぐに発散できる。ちなみに、ストレスの原因は他でもないこの鬼神のせいだ。
「ナニをどのように擦っているのです?見てみたいです。興味があります」
「なんだって?私が言った言葉見事に鬼灯様の中で変換されてますけど?………その前に変態か!」
「いえ、オスの行き着く先は皆同じですよ」
いや、そんな話をしてるんじゃないよ!
はぁ、もうなんか…うん、仕事に集中しよう…。鬼灯様は冷静なのに、私だけ熱くなって悔しい。
でも、鬼灯様はなんで私に攻撃を仕掛けてくるんだろう。あれ?これってもしかして…
「あ、もしかして鬼灯様私にホの字ですか?」
ふざけて言ったつもりだった。いつも言われっぱなしだったから仕返しのつもりだった。だけど、鬼灯様は妙に納得した顔でポンと手を叩いている。
え?なになに?鬼灯様の中でナニガオコッタノ?
「そうなのかもしれません、なまえさん。私は貴方の事を好いているのかもしれません」
「なんだって?」
「ということなのでなまえさん」
そういった鬼灯様はいきなり私を引き寄せてこう言った。
「覚悟してください」
それはもう色気のある声で耳に囁かれたものだから、顔は真っ赤っか。タコさんウインナーもびっくりだ。しかも、刺激的な言葉を残し去っていった。恐るべし!サディスティックテクニシャン!
いつものように罵声を浴びられ怒り狂った時とは違う胸の動きに違和感を覚える。あの鬼灯様にドキドキするなんて…
「…あれ?私もしかしてM?まさか…そんな………。で、でも…でも…わ、悪くないかも…?」
と、鬼灯のおかげ(?)で特殊な性癖の魅力に気付いた者がまた一人。
でも、好きな子をいじめたいなんて精神年齢幼稚園じゃん。
「プッ…クスクス…クスクス…どゅふ」
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