「あれ…?今日居ないのかな…?あ、居た…白澤様!…って気付いてないし」


白澤様はなにを、見ているんだろう?


私の存在に気付きもしない白澤様が優しく見つめる視線の先では、細い肩をしている私の親友が幸せそうな顔で笑いながら頷いてた。そんな彼女を抱き締める彼。私の親友は鬼灯様と付き合っているはずなのに。


その場から動けずに居た私の中で、今まで私と白澤様と彼女の間を積み重ねてきたなにかが、大きな音を立てながら崩れていったような気がした。

あんな白澤様見たことない。彼女はどうして幸せそうにするの?

あんな表情、。


白澤様が時々見せる悲しい目の訳を、今、身を持って知ってしまったんだ。


白澤様が哀しまないために、何かしてあげる事ができるのは私でもなくて誰かでもなくてただ1人あの子だけなんて事も分かったの。


そんな光景を目にした私は、いつの間にか家のベッドで座っていた。


明日も早い。寝よう。携帯が光っていたけど、身体は正直で、泣き過ぎたせいか睡魔が襲う。





《白澤様!》

《あ〜なまえちゃ〜ん!今日のデートは何処に行こっか?》

《白澤様と一緒だったら何処でも…!》

《嬉しい事言ってくれるなぁなまえちゃんはさ…あのさぁ、あのさぁ?なまえちゃん》

《なんですか?》

《僕達付き合おうよ!》


白澤様から言ってくれて嬉しかった。


白澤様と鬼灯様とあの子と私で遊ぶ事もあった。

《可哀想だろ!離れろよ!》

《いいえ、この子はなにがあっても離しません。私の彼女なので》

離さない彼

《ふふ、鬼灯様ったら》

笑う彼女

《こんな常闇鬼神やめればいいのに!》

守る彼。


あれ?私の居場所なんて最初から分かって居たじゃないか。私はただの通行人Aにすぎない存在。主人公は最初からあの子なのだ。


そんなとこで目が醒めた。


夢にまで出てくるなんて、いつからこんなに惹かれていたの?

なんて、今頃気付いたふりをした。


止まらない…目から溢れる何かが止まらない…

「……ッ……はく…ったく…さまぁ…………」

愛しいあの人に溢れるものを拭って欲しいのに。

あの人は、居ない。

気付いてくれない。


「どお…して…?なんでッ!!どうして…私じゃ…ッ…ないのッ…?」

止まらない 止まらない 止まらない

私…どうすればいい?


「私は…ッ…はくたく…ッ様がいいのに…ッ!!」


どうしても、貴方じゃなきゃ駄目みたい

あの子に向けた目を私にも向けて欲しかった。

あの優しい目で、手で、声で……


「ヒッ……白澤様…ッ……」






「なまえさん」

男の人の声が聞こえる



私の望んでいた声…?














違う、この声は




「鬼灯様…?」










おわり

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あとがき

続きがありそうな終わり方をしてしまいました…。喋ってる途中で終わらすなんて…続きは書くと思います

この短編は好きな歌の歌詞をイメージ…いやほぐしたつもりなんだけどそねまんま歌詞が載っちゃってる部分もあるかもしれません…(笑)でもわかる人には分かると思います。


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