私は、今高天原ショッピングモールに来ている。

「あと買うものは〜…」

「あらァなまえちゃんじゃない?」

名前を呼ばれたので振り返ると、大好きなお香ちゃんが居た。

「へっ!?お香ちゃん!お香ちゃんだぁ!!」

私はすぐさまお香に駆け寄り手を握りしめた。

「おや、なまえさんではないですか」

「え?なになに〜?あっ!なまえちゃ〜ん!」

近くのお店から出て来たのら、鬼灯様と白澤様だった。

「あ!鬼灯様も!こんにちは!」

「あれ?なまえちゃん…僕の名前は!?」

「ざまぁ見ろこの偶蹄類」「うるさい!この常闇鬼神!」

後ろで喧嘩をする二人は無視して、ある事に気が付いた。

「あれ?お香ちゃんその簪可愛い!変えたの?」

「いえねェ、これ鬼灯様に買って頂いたの」

「え?二人って付き合ってるの!?」

大声を出してしまったので、慌てて近くに小判とゆう猫又が居ないか確認する。時々目をギラギラさせて物陰から熱心にスクープのネタを今か今かと待ち続けている時があるので要注意人物なのだ。いや要注意猫物?

「付き合って居ませんよ」

私の質問に答えたのは意外な人物だった。

「そうだよなまえちゃんあんな朴念仁が高嶺の花お香ちゃんと付き合えるわけな…ブフォッ!!!」

「あ、失礼しました…てっきり付き合ってるかと…」

ぐへへと笑いながら謝る私に

「なまえさんにも買いましたよ」

「え!?私に…?」

「ふふふ、良かったわねェこうゆう時は素直に受け取っておくものよなまえちゃん」

「あぁ、お礼はいいですよ」

いや、まだ何も言ってない

「いや、有難うございます。鬼灯様って優しいんですね」

いつも怒られてばっかりだけど、最近分かった。鬼灯様、本当は優しいんだって事。

「私これから約束があるの、だから先に帰ってるわねェ〜なまえちゃんまたねェ〜鬼灯様もォ〜白澤様も行くわよ〜」

「イテテテ…うん!今いくよお香ちゃ〜ん!」

手をひらひら振りながら去っていくお香ちゃんに私も負けじと手を振り返す。私の横の鬼神は気絶していたのにお香ちゃんに呼ばれて立ち上がった白澤様に対して舌打ちをしていた。

「私達もそろそろ行きますか」

「はい!…あ、鬼灯様!簪つけてくれませんか?」

「仕方ないですねぇ、ほら貸して下さい」

鬼灯様に買ってもらった簪を、鬼灯に渡して鬼灯様の前に立ってみる。

あれ?自分から言っといてなんだけど、顔が近い…どんどん近付いてくる綺麗な顔。何故か、暑くてたまらない。汗がとまらない。ドキドキドキドキドキドキ…

「はい、できましたよ」

「あ、ああ有難うございま…す…!」

真っ赤な顔で答えた私に、ハァと息をつきながら

「まったく、貴方は純粋ですね。……これから私と色んな事が待ち受けているてというのに」

と、後方はなまえに聞こえない小さな声で呟く。二人は高天原ショッピングモールを出て地獄へ足を進める。

「なんか言いました?」

「いえ、ところでなまえさん今日私の部屋に来ませんか?夕餉を作るので。貴方に(脳)味噌汁を飲んで頂きたい」

「ほんとですか!?行きたいです!!わー鬼灯様のお味噌汁楽しみだなぁー」

うきうき、と頬がだらしなく緩んでいるなまえを見て、鬼灯は

「信用されているようですね」

「そりゃあ!普段は怖いけど、鬼灯様優しいですもん!優しくなかったらご飯になんて、しかも部屋になんて誘ってくれないですよ!」

いつの間にかついていた閻魔殿、気付かぬうちに鬼灯のマークが描かれてあるドアの前に立っていた

「さぁ、着きましたよ」

「いつの間に!鬼灯様は誘導もお上手なんですね!しかも優しいし!完璧ですね!」

「いいえ、下心ですよ」

「お邪魔しまーす…って、え?鬼灯様?」

ドアが閉まった途端、至近距離にある鬼灯様の顔

「のこのこと男の部屋に着いてきて、無防備すぎなんですよ貴方。」

「ほっ、鬼灯様…」

「今夜は返しませんよ。」

言ったと同時に塞がれる唇は、熱を帯びていた。

あぁ、なんだか蜘蛛の巣に引っかかった気分。






おわり
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