けんにゃさん男魅せる。





「けんにゃさん!けんにゃさん!!」

頭がぼーっとする。目の前には大粒の涙を流す光。ちょ、誰にやられたんにゃ、けんやさんか!

「安静にしたればもう大丈夫やで。よかったな〜にゃんこちゃん」
「せんせ…ありがとうございます」


相変わらずひかるは泣きじゃくっとるし、けんやさんはそれを慰める。しばらくして冷静になった俺は、ここが動物病院やと分かった。


ひかにゃんが野良3匹に囲まれとって、気がついたら俺は飛び出してた。ひかにゃんを守らなあかん!体が無意識に動いとった。

俺は喧嘩はなかなか強い方やけど、さすがに3対1には敵わなかった。人生初くらいにぼこぼこにされた。ひかにゃんが助かれば、それでええ。俺の猫人生もこれで終わりか…なんて考えたりもしたが、どうやらまたひかるに助けられたらしい。


ああ、阿保やにゃあ。一番一番大事なひかるにこんな顔させるなんて。俺はこんなだから飼い猫になれんのかもしれん。


「けんにゃさん…」

恐る恐る空いてるドアの隙間から入って来たのはひかにゃんやった。目をうるうるさせて俺のとこまで駆け寄って来てくれる。
(あぁ、ひかにゃんが無事で本間によかった。ひかるには心配かけたけどひかにゃんを守れてよかったなぁ)


「けんにゃさん、ごめんなさい…おおきに」
「はは、ひかにゃんが無事でよかった」


「おっひかにゃん来てくれとるやん!しっかしやっぱけんにゃさんも男やな!やっぱ好きな奴は守ってやらんとな!」


今けんやさん要らんこと言うたー。絶対要らんこと言うたあぁああ


「け、けんにゃさんって俺のこと好きなん?」

けんやさんのばかあああああああ!

「俺も、けんにゃさんのこと好きやで」
「そうやな、急にこんな、ごめんなひかにゃん……ってえええ?!」

ひかにゃんは俺のくちをぺろって舐めた。こ、これは、きっす…!

「けんにゃさんのこと好きや。ピアスのお兄ちゃんが金髪のお兄ちゃんを好きなように、俺もけんにゃさんが好き」


幸せで甘くて。ひかる、これが恋やんな?
…俺はひかると出会ってから幸せなことだらけだにゃ。

「俺も、ひかにゃん好き」

ひかるに、けんやさんに、ひかにゃんに。会えてよかった。





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