愛に対する治療法は、さらに愛する以外にはない





大学生設定です。










そんなつもりや、なかった。久々にラブラブしていちゃいちゃして優しくして気持ちよくして、って。いっぱいいっぱい考えとったのに。



最近お互いのサークル、バイトや課題が忙しく、会うことが出来なかった光と久々のデートのはずやった。俺は前日先輩と飲みに行く予定やったから朝寝坊するかもしれへんと思って「もしかしたら寝とるかもしれんから勝手に中入ってきてな。鍵開けとくから」って光に言ってあった。


せやのに実際先輩たちにがばがば飲まされて何軒もはしごしてべろんべろんに酔っ払って、気がついたら最寄り駅のホームのいすで眠っとった。ここまでどうやって来たのか覚えてへん。多分先輩の誰かが連れてきてくれたんやろうけど。頭ガンガンする中で携帯を開いて時間を確認すると光が来る予定やった時間から軽く3時間は経っていた。もちろん家戻ってないから鍵も開いてへん。携帯にはたくさんの着歴と何件かのメール。


「来たんすけど」

「謙也さん、鍵開けて」

「はよ起きろやー」

「スピードスターさーん」

「謙也さん今家おるんですよね?」

「なんかあったんですか?」

「謙也さん大丈夫なん?」

「今どこ?」

「ずっと待ってますから、早く帰ってきてください」







俺は何をしとんねん!光をこんなにも不安にさせて、こんな長い時間待たせて。俺が光やったらどんな気持ちになる?なかなか会えへんくてやっとデートできるっちゅうのに待てど暮らせど連絡すらつかへんなんて。俺は自分家に必死で走った。途中で道端で吐いてもうたけど止まれへんかった。



ふらっふらになりながらなんとかアパートたどり着いて、家の前までなるべく早歩きで向かう。ドアの前ではちいちゃく体育座りした光が膝に顔を埋めとった。


「けんやさん!!」
「ひ、ひかる…ほんまごめん、」
「よかった…」



3時間も4時間も一人ぼっちで暑い中待たせてしもたのに、光は怒ることなく笑ってぎゅってしてくれた。



「ほんまによかった…。電話も出てくれへんからなんか事故にでもあってもうたんかと思いましたわ…」
「ひ、ひか…」
「どうせあんたまだ気持ち悪いんでしょ。酒弱いのに飲み会なんか行くからや。ほら、はよ鍵開けてください」
「光、ほんまにごめん!!」
「…ちゃんと帰ってきてくれたから、ええです。」



長い間待たせてしもたのにそんな風に俺をいたわってくれる光。うれしくて申し訳なくて思わず涙がでてきた。


「わ、ちょぉまだ酔い抜けてへんのですか?すぐ水と氷枕だしますから横なっとってくださいよ」
「ひかる〜…ごめんなさいぃ…ほんまにすきやぁ〜…」
「ふふ、そんなん知ってます」
「俺のこともっとののしってくれやぁぁ〜…お願いやから離れていかんでやぁぁぁ〜…」
「ふは、ドMかあんた」


毎度やられたら困りますけど、こんくらいで愛想つかすわけないでしょ。愛してるんですから。



もうお酒は当分飲みません。家にも早く帰ります。せやから光さん、ずっと俺のそばにおってください。二日酔いが終わったら何でも言うこと聞きますから。


「本間にしゃーない人っすね、謙也さんは」って笑いながら俺の頬を撫でてくれた光の手はひんやりして、温い俺の涙が通った後のアツイ頬にはちょうど良かった。そうか、そうなんや。俺たちはそんな風に、一緒におるんや。


「でも、やっぱりちょっとむかつきますわ」
「うぅ、ほんまごめんやで」
「やって、ひとりで待っとる間、むっちゃ寂しかったし」


光がかわええこと言うてくれたもんやからまた涙が零れそうになったけどかっこ悪いから我慢したら、「謙也さん、変な顔」って、尚更かわええ顔して光は笑った。




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