じわり、浸る。(ユウ光)





ユウジ先輩が風邪引いたらしい。連絡が来たのは俺にやなくて白石部長にやけど。腹立つ。


というわけで、ユウジ先輩ん家にお見舞いに来た。


ユウジ先輩にお見舞い行きますっちゅーメールしたら移るからあかんって超拒否られて。ムカついたから絶対行くって送ったら「マスク3枚重ねしてこい」言われた。素直に言うこと聞く俺はなんて健気なんやろ。


ユウジ先輩ん家は両親共働きやから、寂しい思いしとるに違いない。適当にゼリーやらポカリやら買うてユウジ先輩んとこに急いだ。




−ピンポーン
…チャイム押してもうたけどユウジ先輩起き上がれるんやろか。


「…ひか、る」
「ちょ、ユウジ先輩…大丈夫ですか」

ドア開けて出て来たユウジ先輩は顔真っ赤で酷い汗やった。抱えるようにしてユウジ先輩の部屋に連れてってベットに寝かせる。あっつ。この人体ちょーあつい…。


吐く息は荒くて体はあつくて力入らへんくて目は虚ろで、そんな状態でも俺のメールに返事くれて移らんように心配してくれて、本間になんとも言えへん気持ちになった。



「はぁ、は…ふ、ひかる」
「ユウジ先輩、」
「ひかる…げほっ、」
「大丈夫ですか?今日なんか食いました?」
「…あかん、多分吐く」
「先輩、食わんと薬飲めませんよ。とりあえず今は寝ましょ、ね?」
「う、」
「傍にいますから」
「………おん」





それからユウジ先輩の冷えピタ何度も替えてやって汗拭いてやって。苦しそうで代わってあげたくてしゃーなかった。



















「……ん、」
「あ、ユウジ先輩起きた。お粥みたいなのん作りましたけどちょっと食えます?なんか食べな薬飲めへんし」
「…多分、ちょっとなら、食べれるわ」
「なんやさっきよりちょぉ顔色いいですね」
「……………ちょぉ待て、お前今なんて言うた?」
「さっきよりちょぉ顔色いいですね」
「もうちょい前」
「なんか食べな薬飲めへんし」
「もうちょい前」
「お粥みたいなのん作りましたけど」
「……料理、出来るん?」
「まぁ一応」





ユウジ先輩はさっきより元気になっとって安心した。



「…うま。これ本間にお前作ったん?」
「他に誰がおるんですか」
「背中にチャックついとっておばちゃんとか入っとったらどないしよー」
「あんた阿保ですか」



さっきより調子良くなった言うてもまだまだしんどそうやから、薬飲ませて寝かせた。熱に浮かされた顔もやっぱりかっこいいだなんて、惚れた弱み?




「なー光」
「はい?」
「お前かわええし飯美味いし、さ」
「……はぁ」
「いつでも俺んとこ嫁に来れるな」
「は」
「ほなおやすみー」




本間、いろいろと反則やろこの人…!


とりあえずこの赤く染まった俺の頬は、ユウジ先輩の風邪が移ったってことにしておこう。




ちなみにマスク3枚重ね効果か知らんけど俺に風邪は移らんかった。

(なん、光今日弁当自分で作ったん?)
(花嫁修業っすわ)
(ぶっ!!)





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