あの子の彼氏。(蔵にょたユウ)





・光とユウジがにょた、ふたりは仲良し
・謙にょた光前提
・若干設定違います
・みんな高校生











昔からよぉ仲良くしてくれたユウちゃん。冷たくて意地悪そうやけど本間は優しくて、口は悪いけど性格は良くて。うちはそんな、飾らないユウちゃんの時々見せる屈託のない笑顔が好きやった。

せやけど、最近のユウちゃんはなんだかおかしい…。


切れ長の一重だったユウちゃんは、何故か二重になっとった(アイプチの力らしい)。まつげはばっさばさに長くて、頬はピンクく染められとって。短めの髪はふわふわのゆる巻き。要するに、ユウちゃんに彼氏が出来た。うちらが通う高校の隣の学校で、それも、格好良さ王子級らしい。つまりユウちゃんは彼氏のために可愛くなろうと必死なんや。
好きな人のために可愛くなりたいっていう気持ちは痛いほど分かる。うちやってそうやし。やけど、せやけどなぁ…


「ユウちゃん、クラノスケサンとやらにすっぴん見せたことあるん?」
「阿呆!!そんなことできるわけないやんか!!!…てか、逆に光はあるん?」
「うん。たまにえっちのあとうちがそのまんま寝てまうと謙也さんがメイク落としといてくれるねん」
「ギャー!!あんた阿呆か!?ぜったい考えられへん!!」
「なんでよー?そこまでせんでもええやんか〜」

今日も学校帰りにユウちゃんとお買い物して、今はスタバで休憩中。ちなみに今日はユウちゃんはノーメイク。クラノスケサンと会わへん日は肌を休める日なんだとか。ユウちゃんが可愛くなりたいってのはええことやと思う。せやけど、そこまでして必死で顔作らんでもユウちゃんは十分可愛いと思うんやけどなぁ…。


「…うちやって、光みたいに可愛かったらこんなことせぇへんわ…」
「何言うとるん?ユウちゃんは十分かわええよ」
「そんなこと言うてくれるん光だけやわ」
「そんなことないって、ユウちゃん!」


ユウちゃんは下を向いて、ぽつりと呟いた。「蔵のファンの女の子に、なんであんたみたいなブスが白石くんと付き合うとんねんって、言われた」って。


「え…な、なんやねんそれ!信じられへん!!」
「もうええねん。本間のことやもん。…謙也は、ええなぁ。光みたいな可愛くてええ子が彼女やなんて、自慢やんなぁ。っ、…うちみたいなのんが、彼女なんて…くらがかわいそうや…」
「ユウちゃん…」


ユウちゃんがうちの前で泣き出すなんて本当にいつぶりか分からないくらい久しぶりやった。いつも泣いてしまうのはうちの方で、それを慰めてくれたのはユウちゃんやった。なのに、うちはユウちゃんに何も出来へん…。ごめんねユウちゃん。みんな僻んどるだけや。ユウちゃんはこんなにも可愛くて、こんなにもええ子やっちゅーねん!


「あ…ゆ、ユウちゃん、あの前方からやってくるものごっついキラキラした人ってもしや…」
「!!!いやや!今日ノーメイクやもん!それに今顔ぐちゃぐちゃやし、蔵に会わす顔なんかあらへんっ!!」

偶然にも通りかかったのは、ユウちゃんの彼氏のクラノスケサンやった。生で見るのは初めて。わ、すごいなオーラ。包帯巻いとる。一体何モンなんや…。
「まぁ、こんな顔やったら気づかへんやろうけど、」なんて自嘲気味に笑ったユウちゃんの言葉に反してクラノスケサンは真っ直ぐこっちに歩いてやってきた。


「ユウ、どないしたんそんなに泣いて、」
「な、なんでもないわ!」
「そんな俯いとらんと顔上げてや」
「いやや!今日本間うちぶさいくやねん!!!」
「あ、君光ちゃんやろ?いつもユウから話聞いとるで〜」
「あ、こんにちは…」
「って聞けや!!!」


「誰がぶさいくやねん、今日もかわええで?」
いつも可愛いけど、俺ずっとユウの素顔も知りたかったんやで?やからめっちゃ嬉しい。なんてクラノスケサンは笑って、ユウちゃんの髪を撫でて涙を拭いた。うちに謝ってクラノスケサンはユウちゃんを連れてった。ぱ、パーフェクトや…なんちゅーフェミニスト。ユウちゃんあんな人よぉ落としたなぁ。キザすぎて若干さぶいぼ立ったけど。うちはやっぱ謙也さんくらい抜けとる方がええな。




次の日、ユウちゃんは「今日放課後デートやねん!」なんて嬉しそうに笑った。ノーメイクやけど髪だけふわふわしとって、笑顔がすっごく可愛い。

「蔵が、そのまんまのユウのが可愛いって言うてくれてん」
「よかったね、ユウちゃん」
「でも髪の毛はふわふわのが好きやから、俺のためにちょこっとだけ頑張ってくれたら嬉しいわぁ、って」


流石クラノスケサン。回答まで恐ろしいほどパーフェクト。これからもユウちゃんのこと、どうぞよろしく頼みます!





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