更新履歴や日々のあれこれ。

何度明けても、

2014/01/08 17:52




チュンチュン、と鳥のさえずりで目を覚ますなんて、物語だったらものすごくベタな目覚めだった。外の気温は相当低いはずなのに、布団の中は体温が異常に高い相方のおかげかほかほかだ。


「あ〜…今年も初日の出見逃した…」


新春。新しい春(には、まだほど遠いと思うが)。俺たちが一緒に暮らすようになってから、二回目の元旦だった。
中学時代から男同士ながら恋愛を続けてきた謙也さんと俺。そりゃもう今日まで大変だった。何度ふられると思ったか。俺からこの人とちがう道を選ぼうなんて思ったことは一度だってなかったけれど。


第一今同棲を始めたのだってきちんとプロポーズ的なものをされたわけでもない。や、プロポーズなんて言い方は大げさかもしれないけれど、俺たちみたいに男同士のカップルなんて一緒に暮らす=事実婚のようなものなんだからそれくらいあってもいいと思う。お互い働いていて一人暮らしをしているのに一緒に住み始めなかったっていうことはそーゆーことなんじゃないか、って思ってたのは俺だけか。


ひょんなことから喧嘩になって酷いことを言い合って。「どうせ謙也さんなんていざとなったら俺のことなんてぽいって捨てて女のところに駆け込むくせに。」って言ったっきり、謙也さんは俺のほほを叩いて一週間ほど姿を消した。酷いことを言いすぎた俺は抜け殻のようにひきこもって後悔をし続けて、そしたら謙也さんは帰ってきたんや。引っ越し業者のトラック連れて。


「引越すから準備せぇ。二人で住む家、今日から入居出来るんやから。」


って知らんがなーーーーー。ほんっまアホちゃう?普通せぇへんやろ、頭のネジ何個か飛んどるわ。
それ聞いて泣きながら大慌てで段ボールに荷物詰める俺も大概アホやけど。




「んぅ…まぶし」
「謙也さん、おはようございます」
「おはよぉ光…ハッ!!また初日の出逃したぁぁ〜!!なんで起こしてくれんかってん!!」
「俺もさっき起きたっちゅーねん」



そんな出来事は去年、いやもう一昨年か、の12月末。一昨年の年越しは引っ越しの片づけが追いつかず、段ボールだらけの家で二人でカップそばを食べたっけ。あれから謙也さんと生活をして、今まで以上に嫌いなところを知って、今まで以上にぶっ殺したろかって何度も思ったけど、今まで以上に嫌いなところを愛おしく思えるようになった。



「はー見たかったなぁ、初日の出。」
「光が昨日テレビ遅くまで見とるからやでー」
「あんたやって一緒に見てたやんけー」
「そりゃ、ついとったら見てまうわ」
「ならおあいこやわ」
「まぁええか、来年もあるし」
「…うん」
「来年もってか、その次もその次も、これから何十回もあるし」



プロポーズの言葉も無く突然始まった同棲だけど、俺は暮らし始めてからひしひしと感じている。この人は、毎日俺にプロポーズをしている。俺が不安にならないように毎日毎日甘い言葉で将来を約束する。あの人変なところで恥ずかしがりやねん、一回きちんとプロポーズするよかよっぽど恥ずかしいと思うんやけどなぁ。でもそれもこれもぜんぶ俺を安心させるためやったとしたら、完全に俺の負け。


「謙也さん、今年もよろしくお願いします。」
「おう、こちらこそよろしくお願いします!」


今年も仲良く健康に暮らせますように、あともう少し素直になれますように。それと、これから何度でも一緒に迎える朝に感謝しよう。初詣はもう少し後。もう少し、この人の腕に甘えよう。


あぁ、この人がいるだけで毎日はこんなにも眩しくあたたかい。





***


あけましておめでとうございます。そしてお久しぶりですみません!!リハビリがてら元旦SSを…。
今年も皆様にとって素敵な一年になりますように!
今年もよろしくお願いします〜!!





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