更新履歴や日々のあれこれ。
待つということ。
2013/06/02 01:40
愛情を踏みにじるとか、待たせっぱなしにするとか、ほかりっぱなしにするとか。
相手を傷つける行為はいつだって簡単だ。良心がチクリと痛むだけで、その痛みもそのうち麻痺して感じなくなる。
俺はそんな風に光を傷つけ続けてきた。
中学の時、なんとなく光が俺に好意を寄せているのがわかって、それをなんかかわええなぁって思って、流れで付き合うことになって。
簡単に始めたお付き合いは、年を重ねるごとに男同士という現実が重く、重くなっていった。
光のことはちゃんと好きだった。大切だし守りたいとも思った。ただ俺は光以上に俺のことが可愛くて、光を傷つけることで自分を守った。
光との関係を他の人に言うことはなかった。カモフラージュやなんやと言って他の女と何度も関係を持った。それも何人も。それでも光は文句を言わないからそれに腹が立って、わざと香水のにおいを沁みつかせた体で光をめちゃくちゃに抱いたりした。
光が泣きそうな顔をするたび、安心した。
「おかえりなさい」
光は俺が何度突き放しても酷いことをしても、いつでもそう言ってまっててくれた。真っ赤にはらした目で、おかえりなさいと言った。ただいまとただいまの間隔がどんなに離れても、回数が減っても、ちゃんと待っていてくれた。
傷つける行為は簡単で、大事にするのは難しい。散々ぼろぼろにしておいて本当に都合がいいけれど、だいぶ遠回りしたけれど、間に合うのだろうか。
「光、ただいま。今まで散々酷いことし続けてごめん。
俺と一緒に暮らさんか。」
光ははじめて、おかえりなさいを言わなかった。
おかえりなさいは全部涙になって、俺の肩に染み込んだ。
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