俺は信じない | ナノ


▼霧の中で


…ったく、油断も隙も
ねぇ奴だ。気配を消すな
ってーの。つか、人に
抱き付くんじゃねぇよ。



『サトツさん、ここが
二次試験会場なのか?』

「いいえ、まだですよ」

「じゃあ、ここを通る
のか」




見るからに湿地って所
だよな。しかも、何か
ムカつく気配。



『…イライラする』

「ふふふ、ユエさんは
敏感ですね」

『まぁな』

「ヌメーレ湿原別名
"詐欺師の塒"騙されたら
死にますよ」




…何つーか、物騒な湿原
があるもんだな。




「嘘だ!」

「『!』」

「そいつは嘘を吐いて
いる」



影から男が出てきた。
何かを掴んで。



『あ?』

「これを見ろ」




男が掴んでいたのは、
サトツさん、…に
そっくりな猿。



「コイツは、ここに住む
人面猿だ」




…サトツさんがテメーに
殺られる訳ねぇだろう
が。その時、トランプが
数枚飛んだ。否、飛んで
きた。



『何で俺にまで…。
しかも、ハートの
ストレートフラッシュ
って…』

「あ!」




飛んだ数枚はサトツさん
と男に飛んでいった。
サトツさんはカードを
止めたが男はまともに
食らった。…バーカ。




『って、俺のは余計
だろうが』

「なるほど、なるほど
そっちが本物だね




アブねー見分け方だな、
おい。一歩間違えた
ら死ぬぞ。




「とりあえず、行きます
よ」




ぅわ、ぬかるみ。
こりゃ、体力削られる
わ。




『ッ!』




…何だ、この
おびただしい程の殺気の
数は。誰を狙ってる。
…まぁ、解るけどな。
つか、中心の誰よりも
強い殺気は…





『…ヒソカ…』

「ユエも感じた?」

『まぁな、嫌でも
解るぜ』

「前の方に行こうぜ、
ゴン」

「うん、クラピカー、
レオリオー!キルアが
前の方に来た方が良い
ってー!」

「緊張感のねぇ奴
だな…」

『全くだ…』




ま、それがゴンの良い
所か。




「ドアホー!行けたら
もうとっくに行っとる
わーい!」

「私達にかまわず先に
行け」

『ほら、行くぞ。
お前等』

「うん」




早く、ヒソカから
離さねぇと。




「俺、やっぱり戻る」

「『ゴン!』」




あ〜、行っちまった…。
何で、チビスケ共は
行動がはえぇんだろう
な。




「『ッ!?』」




血の匂いが出た。
何で…。ヒソカか!




『アイツ等…』

「ユエ姉」

『お前は先に行け』

「うん」




間に合えよ…。ヒソカ、
殺すんじゃねぇぞ。
走るにつれて血の匂いが
ハッキリ濃くなって
きた。あの影は…。




『ヒソカ!!』

「ユエじゃないか

『ゴン!』




何で、首絞めてんだよ。




『テメーはよ!!』

「危ないじゃないか、
ユエ☆」

『次、ゴンに手ェかけた
日にゃ俺がテメェを
殺す』

「酷いなぁ




…食えねぇ奴。本気で
言ってねぇっていう顔
しやがって。




『ヒソカ…、その顔の
傷…』

「あぁ、その坊やに一発
入れられちゃった

『スゲーじゃんか!
ゴン!』

「…そこ、ボクの心配
する所じゃない?」




そんなん、知らん。
そう簡単に死ぬ奴じゃ
ねえだろ。テメーは。
どっちかって言うと
ネチネチしつこく生きて
そうだ。


『って、レオリオは!』

「ここ




何で担いでんだよ。




『…殺ったんじゃねぇ
だろうな』

「ユエが怖いから
そんな事する訳ないじゃ
ないか☆それに、彼等は
合格だからね




ヒソカ…、テメーは一体
何を考えてやがんだ。
訳がわかんねぇよ。




「1人で来れるね?」

「…」




ゴンは静かに頷く。何か
あったら俺が連れてく
けどな。




「うん、良い子だ

『おい、ヒソカ!』




レオリオ担いで先に
行っちまった。ったく、
あんの気紛れ野郎
がァ…。いい加減に
しろよ。




『立てるか?』

「うん、大丈夫」



健気だな。まだ、小せぇ
のにな。こいつは、
強い。












霧の中で

(…バカが)