俺は信じない | ナノ


▼試験開始


その時だった。




「やぁ、君達新顔だな」

「『?』」

「俺はトンパだ、
よろしくな。ここらじゃ
ハンター試験のベテラン
だぜ」

「ベテラン?」

「あぁ、今まで35回
ハンター試験を受けてる
からな」

「へぇ、スゴいね」

『ゴン、感心するな…』




…つまり、35回ハンター
試験に落ちたってこと
だよな。それにしても、
どこかうさんくせぇ奴
だな…。コイツの目
嫌いだわ、俺。





「あ、そうだ。これ、
近づきの印にな」




トンパが差し出したのは
4本の缶ジュース。




「あぁ、サンキュ」




俺達4人は缶を開けて、
俺とゴンが先に飲んだ。




「『!』」




コイツは…。




「うぇ〜…」

『ペッ!』

「「!」」

「トンパさん、これ変な
味がする。腐ってるよ」





…コイツも結構な味覚
してんだな。野生児
みたいな。クラピカと
レオリオの2人は全て
捨てた。うん、懸命な
判断だな。




『ん?アイツ…』




どっかで見た気が
する…。しかも、なんか
同じ匂いがするしよ。
それに、アイツもトンパ
って奴がくれたジュース
飲んだよな…。
多分、毒入りだが。
アイツも俺と同じ家系
か、毒に強いかのどっち
かだな。




その時…




「ギャアァア…ッ!
腕が、腕がァッ!」

「『!』」




断末魔がその場に
響いた。血の匂い…。
多分だが、断末魔の主は
腕を切り落とされたか
何かしたんだと思う。
そして、俺は1人の
人物を脳裏に描いて
いた。







…ヒソカ…






アイツなら殺りかね
ない。俺と会った時の
かいま見せた、禍々しい
殺気。





「ぶつかったら謝らない
とね





…やっぱな。至極
ご機嫌な顔して
やがんな。その顔…、
右腕が疼くから止めて
くれ…。




「ダメだよ」

『!』




さっきの銀髪坊やじゃ
ねぇか…。しかも、
右腕を結構な力で
押さえてる。…何者だ?




「今は抑えなきゃ、
ユエ姉」

『!』




何で俺の名前…。
こいつが知ってんだ…?




「アレ、忘れちゃった?
まぁ、無理もないか。
俺だよ、キルア」




キルア…、キルア?





『キルアか!?』

「うん」

『デッカくなったなぁ』





笑うと昔の面影が
あった。しかし、今は
思い出に浸ってる場合
じゃねぇ。ヒソカん所
行かねぇと…。




『あとでゆっくり
話そうぜ。キルア』

「うん」




キルアの所を離れ、
ヒソカの所へ向かう。
案の定、ニコニコ笑顔で
迎えられた。ピエロめ。




「おかえり☆」

『うっせ』

「…ユエ、そんな目で
見つめるなよ。興奮する
じゃないか…

『見つめてねぇよ。
呆れてんだよ、興奮
すんな』




俺達の周りからは、
どよめきが聞こえて
くる。




「あのガキ、平然と
ヒソカと話してやがる」




…ガキで悪かったなぁ、
ガキで。




『まぁ、ヒソカ…』

「何だい?

『程々にな』




この後、けたたましい
ベルの音でその場の
空気が変わった。
とうとう始まるんだ。
ハンター試験が。












試験開始

(やってやる)