ぎゅっと握った冷たい手




「あんたの手、冷たいですね」




そう言って妹子は私の右手を握る。

戯れているのか頻りに私と自分の指を絡めたり離したりを繰り返している。


「そうか?」

「はい、太子って実は変温動物なんじゃないですか?」

「変温動物?」

「そんなのも知らないのかこの馬鹿は…変温動物とはあれです、トカゲとか」

「え、君今馬鹿っていった?…てか、私トカゲ!?」

「いや、カエル…?」

「カエルはもっと嫌だ!」

「だって、手汗酷いとヌルヌルしますし…」

「そこか!カエルの由来はそこなんだな!」

「まあ、確率は120%くらいですかね」

「マジで!?振り切っちゃった!」


いつものやりとりをしながら外を眺める。


「……」


心地良い木漏れ日に目を細めると、肩に重み。
其方に視線をやれば栗色の髪の毛。


「妹子?」

「…あったかいですね」

「…そうだな」

「…もう一度、手、握ってもいいですか?」

「いいぞ」


もう一度妹子が握った私の手は相変わらず冷たい気がした。
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