「せっかちだね、きーちゃん」

目を細めている桃井の表情は読み取り辛い、と黄瀬は思った。桃井も周りに寄ってくる女たちのように分かりやすければ良かったものを。そうであればこのじわじわとした敗北感のようなものも多少は和らいだかもしれない。

「桃っちは余裕っスねぇ」
「ううん、そんなことはないよ。私だって、そんなに自信があるわけじゃない」

でも君は女だから、とこれを言ってしまったらなんだかフェアじゃないような気がしたから黄瀬は黙っていた。




130228 黄瀬と桃井