大体あやかしごはんの妄想
サイトはこちら
0603 ろうばいあまし

(人間編凛ちゃん)


足は綺麗に保つようにしている。
ヌードピンクに塗られた爪を撫でる。足裏の皮はやわく、踵はなぞればつるりとしている。立ち続け働く苦労も、ヒールによる美しさの代償である変形も知らない足だ。生白い、棒切れのような足。無知を美徳と勘違いした足のまま、私はずっと待ち続けていた。そうしている間にいつしか十七になり、周囲への劣等感と母への怒りも消えぬまま鬱屈とした少女に育ってしまっていた。私がこんなだからか、それともこの村が日本の田舎にあるからか、救世主は未だ現れず魔法のガラスの靴もない。私の足は恥ずかしいほど綺麗なまま、朝の冷えた水にさらされている。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -