「人間ってさ、死の危険を感じると自然と子孫を残そうとする本能が働くらしいよ」
「へー」
「人間も動物ってことだよね」
「ほーほー」
「果てしなく抹茶ラテ飲みたい」
女は地面に横たわるが早いか突然叫んだ。なんだ、突然。
てかその前のもなんだ、突然。
「今日もだいぶ危険な1日でしたね、銀時さん」
「まあ。戦場だからね」
「そうだね。戦場だもんね」
「そーそー」
「まさかその戦場で味方の刀が飛んでくるなんて誰も想像できないもんね」
「……」
「私がくしゃみしなかったら頭にズガンだったよねビックリだよね真の敵は味方にありって本当だったんだね知らなかったなあはははは」
「あれは、事故、でして…」
「知ってる。故意だったら敵陣に銀時1人ブチこんでくるよ」
「あ、はい。すみません。本当に事故です」
「反省してるならいいの。後はお金で解決しましょう」
後半なにかすごい怖い一言が聞こえた。気のせいか
「示談にする?保険にする?それともあんたを外国に売っぱらってみる?」
気のせいじゃねぇ
超怖ェ
「マジで死ぬかと思ったし。マジで子孫残しそうになったし」
「え、お前が?(笑)」
「……」
「調子乗りました!俺ごときがごめんなさい!」
どうして俺は戦場でもない場所でこんなにも生きることに必死なのか。
戦場よりも死亡フラグ立ってる気がする。んなアホな。
「てかさっきの話マジで言ってたの?聞き流してたわ」
「そうなの?切腹しようか?」
「ちょ、マジで刀向けんなし!」
「冗談だって」
目がマジだ
「マジだよ」
「え、」
「死にそうになるとヤりたくなんの」
「(そっちか)……てかお前もうちょっと歯に衣着せなさい」
「そう考えると桂も坂本もそうなるんだよ。おっかしいよね!高杉は……あいつはまぁ、万年発情期だから」
「うーわ、脳が想像を拒否してる」
「みんな頑張って処理してんだね」
「お前はもうちょっと歯に衣着せなさい」
戦場だろうがどこだろうが誰彼構わず下ネタで会話を成立させようとするこいつに少々頭がふらついた。いつだかお前なんでそんな下ネタばっか喋んのと問うたら下ネタは国境を越えるんだよと真顔で返された。そんな国境ありません。
また頭がぐらついた。やべ、これって血が足りてないってことなんじゃね?頭から無数の筋を伝って流れる血流が鬱陶しくて、乱暴に袖で拭った。そしたら。
「銀時、」
「あ?」
「残党」
臨戦態勢に入る彼女を瞳に捉えた瞬間、後ろからなんとも生ぬるく、それでいて冷や汗を流さずにはいられない風を感じた。
ザシュ
銀髪だけが荒野に舞った。
「……、ぶね」
「よかったね」
「びびった」
「後ろが素敵な刈り上げになってる」
「よくねーな!」
ちっくしょ俺の素敵天パが…
すぐに体勢を持ち直して敵を確認する。3人。楽勝じゃねーか。おい、お前に後ろは預けるぞ。そうすりゃこんな残党3人くらいものの3分で片付くだろ。1人1分計算いや、そんなにかかんねーか。天パの恨みを思い知れ
「銀時」
「……」
「……銀?」
「なあ」
「後ろでしょ?分かってるよ、これ以上刈り上げたりしないから」
「いやいや当たり前だろ!……じゃなくて。さっき言ってたこと本当なんだろ?」
「は?急になに」
「動物本能の話」
「ああ、」
「本当ならさ」
「ん?」
「これ終わったら俺と子作りしよ」
「……」
目覚めた本能
(他の奴等に取られたらたまんねーし)