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こっちおいで、と手で誘ってみるけれど、目が合ってもプイッと顔を背けられてしまったからつまらない。
むぅ、と不貞腐れてみるとたまたま僕を見たのか、少し慌てた様子でこっちに近付いて来た。

つまらない、はウソ。
可愛くて堪らない、に訂正するね。



「ジュニョンアー。」

「…なんだよ。」



なかなか素直になれない俺の恋人。
たまには甘えて欲しいけど、甘えないからこそジュンヒョンらしいような気もして強くは言えない。

こっち来て、と手招きをすると、ジュンヒョンは困ったような表情を浮かべ、周りを確認してから今よりもさらに俺の方へと歩いて来た。
どうやら今日は、比較的に素直な方らしい。
周りに誰も居ないから、っていう理由が一番大きいんだろうけど。

ジュンヒョンは俺の前に立って、ぴたりと立ち止まる。
来たは良いものの、俺からアクションを起こさないと可愛い恋人は何も出来ないらしい。

視線だけが気まずく彷徨う姿が可愛くて、本当はもうちょっとだけ意地悪してあげたいんだけど…そこは我慢しないと、この気難しいお姫様はすぐに怒っちゃうから。
手を伸ばせばすぐに触れる距離に居たから、ジュンヒョンの腕を掴んで側に寄せ、膝の上に座らせる。



「っ、おい!ヒョンスナ!」

「んー。もうちょっとだけ、このまま。疲れたから充電させて。ね?」



最初は羞恥からなのか、全力で俺の上から退こうと抵抗を見せたジュンヒョンだけど、疲れたから充電させて、とお願いすると、ジュンヒョンはその抵抗を辞めた。
可愛いんだか可愛くないんだか…。
そうは思うけど、頬が緩んでしまうことを考えると、俺にとってジュンヒョンは可愛いらしい。

ギュウッと抱き締めて、肩に顔を埋めるとジュンヒョンの身体がピクリと飛び跳ねた。
ああ、可愛い…。
出来ることなら、今すぐに襲ってしまいたいくらいに可愛い。

いくら四次元の住人と言われている俺でも、そんなことをしたらジュンヒョンの機嫌を損ねるということくらいは理解出来る。
だからしないんだけど…なんだか勿体無い気もした。



「ジュニョア、ジュニョア。」

「…なんだよ。」

「んー。幸せだな、と思って。」

「っ!…馬鹿か。」



この空間とこの空気が幸せ。
それをジュンヒョンに伝えると、ジュンヒョンは吃りながらも照れ隠しなのか貶してきた。

そんな貶しも、照れ隠しとなれば愛しいと思える俺って重症なのかな。
でもそんな重症な俺でも別にジュンヒョンと隣で居れたらそれで良い、と思えるくらい、満足している。

メンバーが戻って来るまで、あと数十分程度。
その数十分間ジュンヒョンを感じられたら良いや、と思いつつ、ジュンヒョンのお腹に回した腕に少しだけ力を込めた。




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