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ねぇ、教えて。

僕の何が悪かったの?







明るく騒ぎ立てるのは、弟たち。
前なら僕も一緒になって騒いだりもしていたけど、今じゃそんなことすら出来る気がしなかった。

いつでも気になるのはキミの姿。
そして幸せそうなその光景を、僕はぶち壊したくて堪らなくて。
だけど睨むことしか出来ず、ただただ向こうを少しだけ気まずくさせることしか出来なかった。
そんな輩みたいな僕を誰がリーダーと認めるんだろうか。

腹が立つ。
僕以外の人間の隣で微笑むキミの姿も、キミを奪ったあいつの姿も…。
全部が全部腹立たしい。



「テグニヒョン、今度一緒に此処行きましょうよ!」

「…仕方ないな。」

「やったー!じゃあ俺、予約しときますねー!」

「いつが休みか、知ってるのか?」

「あ…。」



ああやって他愛のない会話をして微笑みあっているのは、少し前までは僕だったのに。
あのテグンと親しげな距離に居れたのは、僕だったのに…どうして?

テグンの隣は、今は僕じゃない。
僕じゃなくて、違う男。

僕やジェファンはスキンシップが大好きで誰彼構わず引っ付き、恋人だったテグンにもベタベタしていた。
だけど今のあいつは…ホンビンはテグンに必要以上に触れたりしないからなのか、テグンの表情が落ち着いているようにも見える。

それがすごく、嫌だ。

今テグンを幸せにしているのは僕じゃなくて、ホンビン。
その事実が見たくないのに、こうして一緒に過ごすからなのか目に見えて思い知らされる。
僕はテグンに捨てられたのだ、と。

いつもよりアイラインを濃くしてみても、いつもより厳つい服装を選んでみても、こんなものはただの去勢でしかなくて。
僕はキミのせいで荒れたんだ、とでもアピールしたいかのようだった。



「ハギョニヒョン、今日も何処かに寄るんですか…?」

「うん、ちょっと友だちに誘われてるから行ってくる。」

「…解りました。あんまり、遅くならないうちに帰って来て下さい。」



収録さえ終われば、テグンとホンビンの姿をあまり見なくて済む。
僕はいつものように濃いメイクと厳つい服装で、マネージャーに寄り道をしてもらうように頼んだ。

それを訊いていたのか、何処かに寄るのか、と訊いてくる末っ子。
サンヒョクの瞳には僕を疑うような何かがあったけど、友だちに誘われてるから、と言えば特に深くは追求してこなかった。

そんなやり取りを末っ子としていても、視線が向かうのはあのふたり。
チラチラと気にしていることからして、多分僕はテグンに気にしてほしくてこうして遊び歩いているだけ。
それがなんだか…、虚しく思えた。

気にしているのは僕だけで、テグンはもう、僕のことなんてカケラも気にしていない。
解っているのにこんなに未練がましいことをしてしまう僕は、本物の馬鹿だと思う。

帰りのバンに乗り込み、耳にイヤホンを着ける。
いつもならそんなことしなかったけど、今ホンビンとテグンの会話なんかを訊いてしまったら、それこそ僕は壊れてしまうから。
だから、イヤホンを着けて大音量で音楽を聴くことで現実から逃げる。

目を閉じると、今でも浮かんでくるテグンの笑顔。
たまにしか見せてくれない笑顔は本当に貴重で、僕にしか向いていなかったのに…今ではホンビンにもあの笑顔が向いている。
それも悔しいし、腹立たしいんだ。

あの笑顔は本物で、テグンも幸せでいてくれていたんだと僕は信じていたのに…あれは僕の、勝手な思い込みだったらしい。
ずっと一緒で、死んでも離さないと言えば自分もだと言ってくれていたのは…ウソだったのかな。
勝手に信じて浮かれていた僕は、本当の本当にただの馬鹿だ。



「ハギョニヒョン、着いたみたいですよ。ハギョニヒョン?」

「!…ごめん、ありがとう。」



気が付いたら、降りる場所へと到着していたらしい。
隣に座っていたジェファンにそれを知らされ、サンヒョクとウォンシクとも言葉を交わし、車を降りた。

別にあのふたりは無視していない。
ふたりで寄り添って、幸せそうに寝ていたから…やめたんだ。
あんまり深入りしても、僕がまた傷付いてしまうだけだから。

女々しい。
女々しい自分が大嫌いだ。

別れるとき、ずっと一緒だと…永遠なんだって言ったのに、と言えばテグンは冷めた目で、永遠なんてあるワケないだろ、と告げた。
そんなことは僕だって、百も承知のことだったのに…。
テグンに言われると胸の奥に深く突き刺さっていた。



「もしもし。着いたけど、まだ?」



今夜会う相手に電話を掛ける。
確かに僕は遅れるかもしれないとは言ったけど、待っていないのも如何なものだろうか。

こうやって夜にひとりで居ると、どんどんネガティブになってしまう。
だから僕は夜が大嫌いだった。

だけど…。

どうせ僕には、独りというものが似合っているんだ。
独りなら必要以上に信じてしまうことだってないし、疲れることも振り回されることもない。

それだったら…。
僕はもう、ずっと独りのままで良いと思えてしまった。



「っう、ふ…っぁ。」



独りで良いと思えるのに…。
それなのに、この眼から流れてくるものはなんだ?
気持ちとは裏腹に、溢れてくるこの情けない声はなんなんだ…?

なんて、ウソ。
解っている、この流れているものも情けない声も、全部。
すべて僕がテグンを諦め切れていないからこそ、出てくるものなんだ。

どんなに言っても、僕は独りが大嫌いで悲しくて…寂しい。
お願いだから、友だちでも良いからまた…昔みたいに一緒に居てよ。
僕の自業自得だけど、お願い、僕から離れて行かないで。



今すぐ壊れそうなほど、異常なほどにまで僕はテグンを愛してる。






******

タイトル通りぱいせんソング。
上手く書けないもんですね…。




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