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僕よりずっと小さなその身体をギュウッと抱き締めると、ビクッと小さく震える肩。
好きだと言ったら、嬉しそうに微笑むその表情。
素直に甘えてくることはあまりないけれど、それでも愛しいと思える。

日本に来たのは、これで3回目。
ショッピングをしたりする時間ももらえたから、みんなで買い物をしに外へ出回った。



「ヒョン、その手はなんですか?」



みんなも一緒だけど、ショッピングモールでふたりになったらデートと一緒だよねー。
なんて考えていたら、無意識にテヒョンの手を繋ごうと自分の手を差し出していたらしい。

テヒョンは僕の手を見て不思議そうに首を傾げながら、その手はなんですか?、と訊いてきた。
本当はもっとスマートに繋ぎたかったけど、どうしても我慢が出来なかったらしい。

部屋はジュンヒョクと一緒だったから、もちろんテヒョンに触れることは出来なくて。
だからこそ、早く触りたいと思って身体が先に動いたんだろう。



「テヒョナ、手、繋ごう?」

「え、嫌です。」

「えぇ!?なんで!?」



こうなったらもう、誤魔化したところで意味がない。
だから率直に、手繋ごう?、と言うと、テヒョンは嫌なのだとさらりと言ってのけた。
え、僕ちょっとショック。

テヒョンは手を繋ぐことを拒否してから、ひとりでそそくさとショッピングモールの中に入ってしまった。
ぽつんと取り残された僕は呆然と立ち尽くすことしか出来なくて、結局ジュンヒョクに肩を叩かれて正気に戻ることが出来た。

とぼとぼと中に入り、テヒョンを探しながらも店内を見渡す。
韓国と変わることなんてほとんど無いけど、やっぱり雰囲気が違う。
でもこの景色…テヒョンと手を繋ぎながら見たかったな。



「ムンギュヒョン、元気なくないですか?もしかして、テヒョニヒョンと喧嘩したとかだったりします?」

「…喧嘩だったら良かった。」

「はい?」



ボーッと歩いてからなのか、俺がひとりなのに気付いたソンウンが話し掛けて来た。
ソンウンは心配そうな面持ちで、喧嘩したとかだったりします?、と訊かれたけど…喧嘩なら、まだ良かったような気がする。

テヒョンは(多分)怒ってないし、でも拒否されて、落ち込んで。
それはそれで寂しいし、悲しい。

喧嘩だったら良かった、とソンウンに言えば、ソンウンはわけが解らないとでも言うような表情を浮かべて俺を見ていた。



「ムンギュヤー、そんなに暗くなるなって。な?」

「…ジュニョガ煩い。」

「いや、流石にムンギュに煩いは言われたくなかった。」



ソンウンと話しても気分は晴れず、ソンウンがどうしようと悩んでいるのは動きを見て解っていた。
このままじゃパパラッチも居るのに駄目だよな、と判断した僕は普通のテンションに戻ろうとしたのに、タイミング悪くジュンヒョクがこの場に現れてしまったんだ。
面倒なことになりそうな予感。

ソンウンはジュンヒョクが来たから安心したのか、いつの間にか姿を消していた(多分ホジョンのところに行ったんだろうな…)。
近くにあるお店にはユンサンが居るから、多分ユンサンがあの店に入るときにでもこいつは僕のことを見付けたんだろう。



「サナのとこに戻れば。」

「なにムンギュ、不機嫌なのか?」

「…まあ、まあ。」

「テヒョナが居ないから?だったらテヒョナ、4階にひとりで居たから行ってやれば良いじゃん。」



サナのところに戻れば、と溜息と一緒に言うと、ジュンヒョクは不機嫌なのかと訊いてくる。
こいつは話していて俺の機嫌がだいたい解るから、嘘は付けない。
だからまあまあだと言うと、ジュンヒョクはまあまあ不機嫌な理由を簡単に当ててしまい、テヒョンの居場所までも教えてくれた。

ありがとう、とジュンヒョクに言ってから4階を目指す。
ひとりで居たってことは、ソンウンもホジョンも一緒じゃない、ってことなんだよな?
まあ、ソンウンはさっきまで話していたから居るとは思ってないけど。

慌てて4階まで行き、キョロキョロと見渡してテヒョンの姿を探す。
テヒョンは普段真面目でしっかりしているくせに、たまーにフラーッとする悪い癖があるから一苦労だ。
テヒョンは何処に居るんだか…。



「ムンギュヒョン?そんなところで何してるんですか。」

「テヒョナ!!」



探し始めて数十分が経過したが、いつまで経っても見付からない歯痒さに近くのベンチに座って項垂れていると、テヒョンの声が降ってきた。
まさか幻聴か、だなんて思ってしまったけど、それは違うらしい。
バッと顔をあげると、そこには袋を持ったテヒョンが立っていた。

テヒョナ!、と名前を呼んで抱き着こうとするけど、テヒョンはそれをサラリと躱す。
また素っ気ない、と思ったけど、そう言えばパパラッチが居るんだったと思い出した。

そうしたら、なんだか全部理解出来てしまって。
ああ…そういうことか、とひとりで納得してしまった。



「テヒョナ、恥ずかしい?」

「!」



恥ずかしい?
テヒョンにそう問い掛けると、テヒョンはなんのことを言っているのかが解ったのか、ボンッと音が出るんじゃないかと思うほどの勢いで顔を真っ赤にさせた。

多分テヒョンは、パパラッチに写真を撮られたら恥ずかしいから僕のことを極端に避けていたんだろう。
一緒に居るところや手を繋いでいるところを撮られたって、みんな特に思ったりはしないだろうに。

それでも照れ屋なテヒョンが可愛くて堪らなくて、頬が緩む。
こんな可愛いテヒョンが見られるなんて、幸せだ。



「テヒョナ、お家帰ったらいっぱい触って良い?エッチはしないから。お願い、いっぱい触れたいんだ。」

「………まあ、変なことを絶対にしないんなら…。」



家に帰ったら、とお願いをすると、テヒョンは渋々だろうけど僕のお願いを訊き入れてくれた。
やっぱり宿舎だったら、ベタベタと触れても良いらしい。

変なこと、エッチなことをしないっていう約束だけど、それさえ守ればテヒョンと一緒に居られる。
テヒョン不足だった僕自身が解消されるなら、それでも良いかな。

いっぱい買ったね、お土産も買いましたから、僕には?、自分で買えば良いじゃないですか。
なんて普通の会話をしながら、そろそろ終了時刻だったのでふたりで出入り口から出る。

後日、このときの写真が出てテヒョンが恥ずかしそうに写真を見ていたのは…またいつかの機会で。






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この前のパパラッチネタ。




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