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「ヤー、チェミノ。」



宿舎のリビングでのんびりと時間を過ごしていると、なにやら怒ったような表情を浮かべるジョンヒョニヒョンに呼ばれた。
特に心当たりは無いため、どうしたんだろう、と脳を働かせつつ、どうしたんですか?、と訊いてみる。

ジョンヒョニヒョンは、特になにも言わないで、ずっと俺を見るだけ。
むうっと口を尖らせても、それは可愛いだけなのに。

取り敢えず放置していると、ジョンヒョニヒョンは俺に向かってすごい勢いで突進してきた。
ぐえっ、と俺の口から情けない声が零れるが、ジョンヒョニヒョンは気にもしていないらしい。
ちょっとは気にしてほしかった…。



「ミノ、ミノ、ミノ。」

「さっきからどうしたんですか?」



怒ったり、甘えたり。

さっきまで怒っていたはずのジョンヒョニヒョンは、俺に突進した瞬間抱き着いて来て、甘えるように胸元へ頭をぐりぐりと押し付けてきた。
何度も何度も、甘い声で俺の名前を呼びながら。

どうしたんですか?、と訊いてみても、ジョンヒョニヒョンからの返事は一切無い。
すごく可愛い年上のヒョンは、甘えたがりな幼い部分を持ってはいるんだけど…、ちょっと解らない。

この甘えたがりなヒョンは、なにを俺に求めてるっていうんだ?



「ミノ、お前は俺のだよな?」

「何を今さら言ってるんですか。」

「…いや、最近ミンキーとかいろいろ訊くから…。ミノはキボマじゃなくて俺のなのに、すっげー嫌だ。」



ああ、もう。
本当にこの人には、敵わない。

俺の胸元に顔を埋めたまま、拗ねたように話すジョンヒョニヒョン。
どうやらジョンヒョニヒョンは、ファンが言うカップリングがいまひとつ気に入らないらしい。

ミノは俺のなのに、だなんて。
そんなもの最高の殺し文句にしかならないって、この人は解っているのだろうか(絶対解って無いよな)。



「俺はジョンヒョニヒョンのものです。誰がなんと言おうと絶対に。」

「…ん。」

「そしてジョンヒョニヒョンも、俺のものですからね。ジョンテムとかジョンキーとか言われてるの、ヒョンは知ってました?」

「…知らない。」



ジョンヒョニヒョンを優しく抱き締めて、諭すように話す。
俺だって人の子なんだ。
ジョンキーだのジョンテムだのと訊いて俺が普通で居られるはずない。

だけど嫉妬しないのは、ジョンヒョニヒョンが居るから。
ジョンヒョニヒョンの心は俺に向いてるって、不器用過ぎるが故に見えるその心が俺に教えてくれるんだ。
だから、普通でいられる。



「ジョンヒョニヒョン好きです。」

「…当たり前だろ。」



愛しくて愛しくて仕方が無いジョンヒョニヒョンの瞼にひとつ。
優しいキスを落とした。




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