「や、やっと抜け出したね…」
「あぁ…『ピンククラウド』のあった場所をなんとなく思い出しそうだよ…
 そこよりもひどいけどさ…」


塔を目指すネスとジェフは、リュカたちも手間取った穴にやはり手こずっていたようだ。
そしてそこに見えていたのは思ったよりもはるかに高い、さっき見た塔が聳(そび)え立っていた。
近くにはなぜかこげあとが残っていた。ここにも雷が落ちたのだろう。

とっさにジェフが入り口を探していたが、そんなものはなかった。
どうやら構造を見る限り、入り口は何処かの地下から入り込む必要がある。


「くっ…入り口が見当たらない…
 悔しいけど遠回りしよう。
 『急がば回れ』って言うしね。」


ジェフが道の先を進む。ネスもそれに追う。
一方通行しかないから、進むべき道が何だか分かりやすい。
リュカもここを通っていったのだろうか?



ネスたちはネンドだらけの工場に着いた。
中から機械音がする事から、きっとブタマスクがうじゃうじゃいるに違いない。
下手に戦闘にはなりたくない。ここはブタマスクたちの場所だから…下手にばれたら、大規模な戦いになりそうだけど…
しかし他はトラックがふさいでいる。これを抜ければなんとか戦いを避けては通れそうなのに…

「ネス、ここは強行突破しよう」
「へ?」
「ん…どちらにせよ、こっから先も闘いが待っている。
 どうせならここで数をつぶしたほうがいいと思うんだ。」


それはそうかもしれないけど…でもこの中に相当な量がいたら?
いくら自分が自分の力を最大限に引き出してあるとしても…たった二人だ。
ポーラやプーがいたなら…あの二人がいるなら話は別だけど…


「大丈夫。ネスの力は信じてる。それに僕だってたくさんのあの兵器たちをしっかり持ってきてるし。」


それを聞いて少しは考えた。
それならなんとかできるかも。




少しの間作戦を練って、ネスは大きく息を吐いて集中した。


「PK LOVEγ!!」


ネスが入り口に乗り込んだ瞬間、ネスの必殺PKを繰り出す。目の前一帯を紅い波動が包む。
一瞬の行動が、ブタマスクたちに混乱を招いた。


「て、敵襲だ!!」


PK LOVEを食らわなかった残存したブタマスクが武器を持って集まってくる。
それに対抗しようとジェフもガイアビームを構える。


「くっ、しきかんどのがここを出た矢先に来るなんてタイミングが悪い!」


指揮官殿??やはりそういうやつもいるものだなとネスは薄々感じた。
まぁ運がよかったと不敵な笑みを浮かべた。


「ここでやらなければしきかんどのやあのお方に向ける顔がないぞ!撃てーっ!!」


ブタマスクの掛け声で、ブタマスクたちは一斉にビームを放つ。
そこでネスはジェフの前に立ち、シールドαを張った。
ビームはシールドに破れ儚い光を残して掻き消える。
そしてネスは工場の裏口を発見した。


「ジェフ!あそこだ!行くよ!」


ネスはジェフを導いて裏口に向かう。
それにブタマスクも放っておかない。


「に、逃がすな!追え!追えー!!いや、吐くんじゃないぞ!?追えー!!!」


工場はやや狭く、一気に向かおうとしたブタマスクたちがつっかえてしまう。
その間に裏口の外へ出る。


「さぁ!今だ!」


裏口に向かって、ジェフはスーパーバズーカーを放った。
バズーカーの弾は裏口に着弾し、爆発を起こした。
ブタマスクは騒ぎを起こしているが、ジェフは『わざと』弾を外したのだ。


「なんか殺すのもちょっとむごいからね。」
「でも僕達が入った入り口から逃げるんじゃないの?」
「そんなことがあろうと思ってね。
 ネスがPSIを放っている間に入り口に『ねばねばマシン』をぶちまけておいたのさ!」


ジェフは勝ち誇ったようにニコニコしてる。
それこそむごい気がするけど…













ブタマスクから授かった乗り物に乗って発進したら突然操縦が効かなくなり、衝突してしまった。
せっかくもらったのに…なんて思いながら渋々外にでた。そこには別の乗り物があった。
そして使用者と思われる者が中から現れたのだ。
現れた相手はあのクラブ・チチブーでみた強面のブタマスク。
まずい!と思ったけど怪しまれないためにも必死に表情を隠した。


「し、しきかんどのじゃねーですか!
 けがはねーですかい!?
 この辺はヨクバのおっさんがバナナの皮散らかしてやがるから結構滑りやすいんでさ。
 よかったら俺のポークビーンに乗っていってくださいよ。」


よかった…なんとかやり過ごせそうだし、それにまたこのポークビーンといった乗り物をもらった!


「くんくん…
 んー?」


その場を去ろうとした強面のブタマスクはなにかをかぎつけるをこちらを見る。


「なんだかイヌくせーしガキくせーぞ?」


正体が匂いでばれた。
なんていう嗅覚だと思い、思わず立ち止まった。


「てめーはクラブ・チチブーにいたガキだな!?
 他の奴らは誤魔化せてもオレの野生の嗅覚は誤魔化せねぇ。
 指揮官殿になりすますたぁふてぇ野郎だ!!」


別に成りすましたわけじゃないのにとは思ったがそれどころではない。
この状態じゃ逃げられない。
ここでしとめるしかない!


「ちっ、クラブの常連め!やっかいな嗅覚してる!」


クマトラも相手の顔はよく覚えている。嫌でも。


ブタマスクはいきなりリュカに体当たりをかましてきた。
いきなりの攻撃に反応できなくて思わず吹き飛ばされる。
こんなに強烈な攻撃は初めてだった。


「リュカ!くっそ!よくも!!」


クマトラはリュカがやられた怒りに任せてPKファイアーをこころみようとした。


「口の悪い嬢ちゃんはこうだ!」


クマトラに強烈な拳骨を食らわせた。
マスクを被っていなければ致命傷だが、それでも痛みに耐え切れず膝を付く。
次にダスターが得意のけり技を繰り出そうとしたが、筋骨隆々の腕であっけなく振り飛ばされてしまう。

強い。こんなに強いブタマスクがいるんじゃ本当にこの世界はブタマスク達の物になってしまう…

だから止めなきゃ…!


リュカはPSIで体力回復を試みる。
傷を癒したところでもう一度立ち向かう。


「まだやるのか!?なんどでもボコボコにしてやるぜ!!」


ブタマスクはリュカに飛び掛り、馬乗りになって動きを止め、力いっぱいの拳を振り上げる。


「やめろ!!いくらなんでも…子供相手に…!!」


クマトラもダスターもなんとしてでもブタマスクを止めようとしたが、身体に痛みが走り思うように動けない。
このままじゃリュカは意識を失うどころか命さえ危うい。
リュカも恐怖と身体の不自由で何もできない。




リュカは覚悟に歯を食いしばった














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