すぐ戻るとリュカが言っていたから、とりあえず待つことにしたネス。
そういえば双眼鏡があることに気づいた。
高さもあるからなにかしら変わったものが見えるのではと覗き込もうとする。
しかしお金が必要で、しかもネスはこの世界のお金を持っていない。
がっくりとため息を漏らし、仕方なく双眼鏡なしで遠くを見つめることにした。
ネスは目を凝らす。
高さのある大きな塔…その頂上にはなにやら砲台が付いている。
あれは一体何のために?何が目的であの砲台が存在しているんだ?
気になるけど、今はどうしようもできない。
タツマイリ村に戻ったらジェフに報告しよう。今頃スカイウォーカーの点検を終わらせてゆっくり休んでいるだろう。
別のところを眺める。
そちらもまた奇妙な建物が見えた。
何かの研究所に見えて、その周りには奇妙な生物がいくつも見える。
すぐ近く出し、ちょっと調べて戻ろうと決意し、ロープウェイへ走る。
もともとムラサキ色をして夥しさを漂わせているというのに、そこのキマイラたちがさらにそれを引き立てる。
「おい、なにしてる!」
ネスの前にはブタマスクが立っている。
不審な者と判断されたのだろう。
「いや、ちょっとここが気になって…ここはなんですか?」
「ここか?ここが気になってやってくるなんて変わった人だな。
見ての通り『キマイラけんきゅうじょ』だ。」
「研究所…?キマイラの…?」
「そうだ。我々は新しいキマイラの開発に勤しんでいるのだ。
あのお方の望む世界にするためにな。」
『あのお方』その言葉にネスは過剰に反応した。
「あのお方!?あのお方って…一体…?!」
「おっと、そこまでは教えられないな。
なにせ男なのかも女なのかも大人なのか子供なのかも分からないからな。」
ブタマスクははっきりと分からないとは言った。
でもネスには分かる。この時代にはきっとポーキーがいるということが…
なによりもえらくなるなんて、彼にはできないことなんてない。
違う時代に言って別のプランを立てる。
あのお方の望む世界…
あれだけ平和だったこの時代…この世界…
いつの間にかネスの目には闘志に溢れていた。
本当に止めるために、戦わなきゃ…
「な、やるのか!?あのお方の考えをそむくのか!?」
ブタマスクはネスの闘志を察知し、武器を構える。そしてキマイラたちを呼び寄せる。
ブタマスクの合図に、キマイラたちは一斉に飛び掛る。
「PKフラッシュ…!」
突然放たれた閃光に、キマイラたちとブタマスクは怯む。
その隙に、ネスはまず、こうもりの羽をしたオランウータンの頭を蹴り飛ばす。
蹴りの勢いに一回転したあとバットでだちょうか象かはっきりしないキマイラをなぎ倒し、
怯みから立ち直った両手がドリルと化したモグラが飛び掛ってきたところにPKファイアーを打ち込む。
瞬殺劇に、ブタマスクは腰を抜かす。そして身体が自由になったところでブタマスクは逃げ出した。
そして空を仰ぐと、久々に見たような朝日がいつもよりまぶしく感じた。