「ここは未成年立ち入り禁止だ!」
「それにペット連れ込み禁止だ!」
熊のようなひげをした男とスキンヘッドの男に入り口をふさがれ、中に入ることが出来ない。
こんなんじゃ未成年は働いた意味がまるで無いじゃないかとネスは心の中で愚痴を漏らす。確かにペットはダメかもしれないけど…
でもいかにも未成年が入れそうな気もしない。
別にやましいことではないけど…
悔しいけど一度引くことにした。
何か対策を立ててなんとしてでも中に入る方法を探さねば。
なんて入り口を凝視しているリュカがいる。どうもあの二人の男は入り口の警戒を怠ることはない。
ネスは力ずくでなんとか通りたいけど騒ぎになるし余計面倒なことになりかねないからそれだけはよそうと頭を横に振る。
「そうだ!」
リュカが手をぽんと叩き、何かを思いついたようだ。
そしてネスとボニーをつれてロープウェイを使って降りる。
リュカにつれられて着いたのはさっきのコーバだ。
そこにある入り口に豚のモチーフをした自動販売機がある。
それは何でも売ってるらしく、服まである。…ネスにはある予感が頭をよぎる。
「…もしかして変装でもするつもりなの?」
「やっぱりバレますか…?」
ネスの予感は当たった。身長でばれるし、そもそもボニーは一体どうするつもりなのだろう…
「まずはこうしてこうして…」
ネスはあまりの予想外の行動で言葉が出ない。
なぜならボニーを変装させたからだ。
赤と白の帽子に、緑のTシャツ。さらに二足歩行。
どうみても外見が犬だと言うのに…これだってあの二人をごまかすことなんて出来やしない。
そしてどう考えても自分たちも未成年でひっかかる。
なんてこの先が思いやられるまま、もう一度あの男の待つところまで来てしまった。
「さっきイヌなんて連れてきた人と…」
ほらやっぱりばれてる。どう考えても入ることを許してくれるわけが無い。
こんなんでこの中に入れるくらいだったらこの二人雇っちゃだめだって…
未成年くさいなんて言われてるし…イヌのにおいするなんていってるし…
ネスは呆れてものも言えないくらい。
これなら力ずくで行った方がまだましだった気がする。
なんてったって相手も力ずくでとか言ってるものだし…
「あらまぁ!未成年くさいぷーさんとイヌくさいワンさんじゃないの!」
二人の男の向こうの扉から現れたのはきれいなピンク色の髪がよく映えて、そしてその容姿に似合うウェイトレス服を纏ってる。
あなたたち、また未成年とイヌに間違われてるのね。
なんて言われてるくらいだけど、ここに来たのはどうやらリュカも初めてらしいけど…
男二人は「知り合いですかい?」と聞くが明らか怪しそうに見てる。
しかしそのうち一人が「イヌてきだが、イヌじゃないようだ…」なんて信じきってる。
話を聞いてるうちに、ヨシコシというそのウェイトレスのおかげで中に入ることができた。
そしてその人の招待は、リュカがその昔に知り合った人だったらしい。
それならあとは安心じゃないかなとネスはホッとする。
今はどうやらライブの最中だそうだ。
そしてそのライブをしているメンバーのうちの一人をリュカが探しているようだ。
ベースを弾く、茶色いアフロの髪の人
あの人がリュカの求めている人物。
あの人に一体何が?なんてネスは思い悩む。でも重要ななにかを感じる。
ライブの最中にさっきのヨシコシという人がリュカに耳打ち話をしてる。
どうやらただ楽屋に行けばいいというわけではなさそうだ。なにか理由でもあるのだろうか?
ライブが終わり、会場を出る。
そのあとにリュカはその人を説得しに行くようだ。
「あ、ネスさん。これから会いに行くので…ちょっと行ってきます。
ネスさんは待っててもらえますか?すぐに済みそうなので…」
こんなときに、自分は確かに不必要かもしれない。
ここはなんか揉め事を起こしそうなことはないだろうし…
不安なのはライブのとき、一番先頭にいたやたら体格のいい強面のブタマスクだが、どうやらライブが終わったあとすぐに出たらしい。
「わかった。じゃあ外で待ってるから…」
一時リュカとボニーの別れ。
ネスは外へと足を運んだ。