リクエストでネスリュカで「切甘」をいただきました!
ただちゃんと切甘にできてるかです…すみません…
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ぼくのばしょ
「この世界」のファイターたちは、自分らを創造したマスターハンドに挑戦し、倒すことによって自分らはフィギュアに返る。
それは自らの力を試すとき。
「えっ?マスターに挑戦しに行くの?」
「うん。自分の力がマスターに通用するかどうかをね。」
ネスは突然それを言い出した。
彼の実力はとても強い。
過去に何度もマスターに挑み、そして勝利を修めている。
しかしマスターに勝利することでフィギュアに返ってしまう。
それを聞いたリュカは表情がくもる。
確かにマスターに勝利するということはいいことでもある。
でもリュカにとってはそんなことよりネスがフィギュアになっていなくなってしまうということだ。
リュカはそれが辛い。
分かり合える友達がいなくなってしまうのが。
ホントは止めたかったけど、そんな権利なんてあるわけが無い。
結局止めることなんてできなかった。
ネスは決断したから…
別の日に、リュカが落ち込んでいる姿をゼルダが見かけた。
話を聞いたところ、ネスがきっといなくなってしまうということをしっかりとあたまに留める。
リュカの苦しみや悲しみがひしひしと伝わった。
しかし、ゼルダだけでなく、他の人に話を聞いてもらったって、ネスの決断は曲がることもなく、
ましてやマスターを倒してフィギュアに戻るという決まりは変わることは無い。
「そっか…リュカはそんなに…」
ゼルダからその話を聞いたネスは、どんよりと落ち込んだ。
まさかそんなにリュカが悲しむなんてと思いも寄らなかったのだ。
だけど自分はマスターに挑むことをやめる?
これは自分のためにもなるかもしれない。もしフィギュアになったとしても、きっとマスターとかがまた創造してくれるかもしれない。
今は力を試したいんだ…
自分はリュカを守ってあげたいから…
結局ネスはマスターに挑むことを決めた。
それを知ったリュカは抑えるだけ表情を抑える。すごくさびしそうだった。
リュカがさびしがってる気持ちはもう知っている。ゼルダが教えてくれたから。
「だいじょうぶだよ。ちゃんと戻ってくるから。
マスターにちゃんと言っておいたから…」
そういうと分かりやすいくらいにリュカの表情が晴れた。
やっぱり自分がいないとさびしいんだなってそう思った瞬間だった。
マスターに会いにただ前へと歩く。
でもネスはさっきのリュカと同じようにどこか寂しそうにしている。
心に何かが引っかかってるのだ。
「リュカ…ごめん…」
本当はマスターに言ったってのは嘘だった。
リュカのあの顔は見たくなかったから、その場しのぎでの嘘を告げて、逃げる。
逃げたって、もう後戻りなんかできなかった。
マスターに会う前に、選ばれたファイターを倒す。
リュカがいないことが今のネスにとっては幸いだった。
宇宙を思わせ、幾多の星が瞬く場所にたどり着く。
これで最後と思わせる空気が漂っている。
低い声の高笑いとともに、右手の姿、マスターハンドが現れる。
普段マスターが見るのは闘志に溢れた目をしたファイターに会うが、それとは違うネスを見て、マスターは不穏に思った。
「どうした?力を試しに来たのではないのか?」
ネスは顔を上げた。
何かを決意した目で、マスターを見る。
「マスター!僕はマスターに勝って見せるよ!
だけどお願いがあるの!」
こんなお願いはもちろん聞いてはくれない。だけどしっかり伝えなきゃ!
リュカは自室のベットでうつぶせに寝そべっている。
枕に顔を渦めて気持ちを現実から背けている。
ネスがフィギュアになっていなくなってしまう事を認めたくないから…
「どうして…どうしてネスまでいなくなるの…?
どうしてみんないなくなっちゃうの…?」
他にも仲間がいる、友達がいる。
でもリュカはこの世界で本当にいなきゃならないのはネス。
それがリュカにとっては辛いこと。
「ねすぅ…」
涙がでて声が震えてる。
こういう別れがなんだか辛い。
リュカはこんな別れ、何度か経験してるというのに…
やっぱりなれないものなんだって…
気づいたらたくさん泣いていた、いっぱい苦しんだ。
そして眠っていた。
「リュカ、リュカってば…」
誰かに身体を揺さぶられる。
夢から帰ってくると、もう帰ってこないはずのネスが顔を覗き込んできた。
「…ネス!?どうして…?」
驚かないなんてできるはずがなかった。
もう帰ってこないってあきらめていたんだから…
「えへへ…リュカが悲しそうにしてるのを思い出しちゃったらマスターに吹っ飛ばされちゃって…」
なんて本当はマスターを倒したけどね…って心の中にしまいこんだ。
「マスターに勝っても…ココに居たいんだ…」
マスターに挑むときに、ネスはお願いを告げる。
「僕ね、ここが大好きなんだ、みんな優しいし、楽しいし…
それにね、大事な友達を置いて行くわけにはいきたくないの」
マスターは深く考え込むように黙る。
そしてネスに語りかけた。
「いいだろう…ただ、お前の努力しだいだな。」
あの言葉は二人のためでもあったのかもしれない。
まぁマスターがこの戦いを楽しむように挑発したのだろうけど…
リュカは嬉しさのあまりネスに抱きついた。
そして更に涙が溢れる。
「もう!さびしかったんだから!!」
「ごめんね…もうどこにも行ったりなんかしないから…また一緒に遊ぼうよ!…ね?」
ネスは泣きじゃくるリュカのあたまを優しくなでた。
そしてなんだか愛しく思った瞬間だった。