円堂+レアン
マイナーに走ってみた
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樹海で雷門イレブンを試合して敗北してから、なんか練習によさそうな河川敷でひたすらサッカーの練習をしていた。
私より強いなんて、許さない。
私は宇宙一のサッカー選手になるんだから!
そう思いを秘めてひたすらボールと戯れている。
「アストロブレイク!」
オレンジ色の髪がよく映えるプロミネンスの少女、レアンが、ゴールを思い切り睨み、アストロブレイクの力の篭ったボールが地面を削ぎながら真っすぐゴールへと向かった。
当然GKなんていないからそのままネットを貫く勢いで入った。
「サッカーの練習か?」
いつの間にか背後に立っていた人物に、思わず声を上げてしまった。
「…あんたは…たしか雷門の…?」
「あぁ!俺は円堂守さ!あんたはたしかプロミネンスの人だろ?」
こんなところで雷門イレブンに出会うなんて…でもここは雷門のある町なんだっけ…?
「一人でサッカーの練習か?よっぽどのサッカー好きだな?」
「…あ、当たり前じゃない!私は宇宙一のサッカー選手になるんだから!」
「宇宙一のサッカー選手!?そうか…いい夢持ってるじゃないか!」
他人の事だって言うのに、そのことに目を輝かせている。
「だったら手伝ってあげるよ!宇宙一のサッカー選手になるためにな!」
そう言うと円堂は肩に掛けていた鞄からGK用のグローブを取り出した。
いくつものシュートを受け止めたのか、黒ずんでもうボロボロに近い。
…DFにいたのに…ホントはGKだったのかしら…
「…名前、なんて言うんだ?」
「…レアン。」
「ようし!レアン!おもいっきり来い!!」
円堂は手を広げて全てを受け止めるかのように両手を広げた。
「たあっ!!」
気合いをこめて真っすぐシュートを打つ。
バシンと力強い音を立て、円堂はレアンのシュートをしっかり受け止める。
「…なかなかいいシュートだな。」
こんな普通の人間が私のようなマスターランクのシュートをそのまま受け止めるなんて…
…流石…ジェミニストームやイプシロンを倒した事だけはある…
「さぁ、もう一回よ!」
気迫をこめて、何発もシュートを打つ。
それでも受け止められる。
それが悔しくて少しずつ強さが増していく。
「うわっ!!」
レアンの渾身のシュートを受けて、円堂はボールと共にゴールで入った。
「…!だ、大丈夫?」
「へへっ…!平気さ…すごくいいシュートだったな!」
円堂はにこやかに笑っていてくれて、なんだか嬉しかった。
「よし!次は止めてやる!来い!レアン!!」
さっきよりももっと気迫の入る呼び声。
こっちもなにかがこみあがるこの感じに身を任せてひたすらシュートを打つ。
「なぁ、明日も来るのか?」
河川敷の土手で大の字に寝そべる円堂。
その円堂の問いに、もちろんとレアンは返事した。
「そうか!じゃ、その時はもっと練習しような!」
「当然よ!今度は止められないようなシュートを打ってあげるわ!!」
そう言い放ち、別れを告げる。
明日に胸を踊らせて、レアンは仲間の元へ帰っていく。
円堂も同じように母の待つ自宅へを足を運んだ。
まだかまだかと河川敷のゴールの前に、レアンはサッカーボールを抱きながら待っていた。
あの元気な声が聞きたくて聞きたくて、こっちから会いに行きたいくらい。
「よお!レアン!待たせたな!!」
それは今にも聞きたかった円堂の声。
その嬉しさに笑みを浮かべて振り向けば、レアンの会いたかったその人が満面の笑みを見せてくれた。