風半
ほのぼのをめざしてみた
ややオレブン要素あり!
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試合の始まりのホイッスルがなったと同時に、風丸の手首に、ミサンガと共に付けている桃色の透明の石がついたブレスレットが光った。


*Brillante detta


ダークエンペラーズだった時のメンバーとその時相手だった雷門と試合した。
右手側には土手の斜面とマネージャーが座るベンチ。
左手側にはもちろん川が流れている。
なんだか懐かしい光景だった。
今までなんて北海道から沖縄まで、キャラバンの中からあっという間に過ぎてしまう景色を眺めるばかりだった。


「風丸っ!」


相手のシュートからボールをセービングした杉森がそのままディフェンダーの風丸へとパスをする。
次に、ボールを奪おうと吹雪が風丸に向かって来る。


「疾風ダッシュ!」


昔から得意なこのわざで、前までは敵わなかった吹雪を抜き去った。
強くなっている事に、風丸も吹雪も思わず笑みがこぼれる。強くなったと。


「よし、半田!」


ほかの相手が来る前にと誰にもマークされてない半田にパスを通した。
風丸にパスをもらい、ドリブルして攻めていくところに一之瀬がボールを抜き去った。
そりゃあフィールドの魔術師と呼ばれる一之瀬には敵わないようだろうけど、悔しい気持ちがあったけどやはり楽しいって思えた。
激しい攻防でお互い無失点で前半は終了。

ハーフタイムに水分補給をしていたら、視野に半田がうつる。
なんだか落ち込んでいるように見えるから、一声かけた。


「どーしたんだ?そんな俯いてさ。」
「いや…やっぱ俺ってほんと足引っ張るっていうか…なんつーか…」
「何言ってるの。一度ボール奪われるくらいで落ち込むなって!」


落ち込む半田に、風丸は元気付けるように肩をたたいた。


「半田は中途半端なんかじゃないよ。何事もバランスよくできるからいいじゃないか。」


なんて声をかけるけど、『中途半端』ということをけっこう前から引きずっていた。
多分…一生気にしていたりして…


秋が後半開始のホイッスルを思いっきり吹き鳴らしたと同時に、シャドウは染岡にパスを回して一気に攻めあがる。


「通させはしないっす!!」


シャドウの行く手を阻み、壁山が得意のザ・ウォールを繰り出す。
地形の突然の変化についてゆけずにシャドウは足をすくわれてボールを奪われた。


「鬼道さん!!」


そのボールを天才ゲームメーカーの鬼道にパスを回し、それを一之瀬に繋ぐ。
そのままドリブルで一之瀬は攻め上がる。


「風丸!!」


半田の掛け声に風丸は反応する。
風丸は自慢のスピードで素早く半田の前にしゃがみ、両手を差し出す。
それを半田は踏み台にして高く飛び上がる。


「シューティングスター!!」


空から大地へとスライディングして地面に降り立ち、一之瀬をボールから払う。

そうして奪い奪われ、結局引き分けのままで試合を終えた。



「半田、お疲れ!」
「あぁ…ありがとう。」


二つ持っていた飲料水を一つ半田に手渡す。


「ナイスブロックだったな!」
「いや、風丸が速く動いてくれなかったらブロックできなかったよ…
やっぱもっとブロックの練習したほうがいいかな…」
「シューティングスターが出来るだけ十分だと思うぜ?」
「いや…でも…」


そこできっと中途半端ってことに捕らわれるんだよな…


「半田、これをやるよ。」


風丸は手首に付けていた桃色の透き通ったブレスレットを手渡した。


「?」
「お守り。半田ってばなんかマイナスだろ?そいつはな、ローズクォーツって言ってさ、マイナスな気持ちとかと吸い取ってくれるんだ。」
「え?でも…」
「でもはなし。俺はもう大丈夫だし。」


強制的に半田の手首にブレスレットをつけて続ける。


「それはな、たしか愛の女神アフロディテの色らしいぜ?」
「アフロディテ…?」


そんな名前を聞いてあの人を思い出さないわけがない。
そしてなぜか笑みがこぼれてしまった。












「っくしゅ!…誰か僕の噂でもしてるのか?」










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