緑の草原、広い青空、やわらかな。温かな陽気。
昼寝でもしたくなるような心地よさ。…そう考えてると眠くなって来た。
「…アウル…?」
空を眺めていると、金髪の少女、ステラがスミレ色の瞳で見つめてくる。
「…何?ステラ…。」
アウルはステラを見返し、返事をする。
「…つまんない…。」
口を尖らせながらいじけるように喋る。
たしかに、アウルの好きなバスケットボールもないし、ステラの好きな海も見えない。
「しょ〜がね〜じゃん。ネオがここに居ろって言うから…。」
退屈そうにアウルは草原に寝そべる。
「あっ、そうだ。」
何かを思いだし、体を起き上がらせる。そしてポケットから、何かを取り出した。小さなプラスチックの瓶に、短い笛に似た棒。
「…何…?ソレ…。」
「シャボン玉。」
アウルは、瓶の蓋を開けて、棒をつっこみふ〜っと吹いた。
虹色の玉がふわふわと空へと飛んで行った。
ステラは、ぽっかりと口を開けて見上げていた。
やがて、虹色の玉ははじけて消える。
「けっこうきれいだな。あれも。」
跡形も無くなったシャボン玉を見つめてアウルが呟く。
再びシャボン玉を空に飛ばし、二人で見つめる。
ステラね目の前でふわふわと浮かぶシャボン玉を捕まえようと手を差し延べた。
指先が触れたとたん、はじけて消えた。
「……割れちゃった…。」
シャボン玉のあった場所を一点に見つめながら残念そうに呟く。
でも、アウルがどんどんシャボン玉を吹いていくからあたり一面シャボンだらけ。
気流に乗って空へ空へと飛んでいく。そして割れて消えていく。
綺麗な物ってどうして儚いのだろう…。
「…ステラ、これに乗ってお空、飛べる?」
空へ飛んでいくシャボン玉を見つめ、ステラがアウルに問い掛ける。そんなアウルの返事は
「なわけね〜だろ?触っただけで割れるんだもん。乗ったら真っ逆さまになって落ちるぜ。」
まったく…相変わらずそういうことだけは子供っぽい。ドリーミングな奴。
でも、そんなところがうらやましかったりする。
「楽しい?ステラ。」
まるで子供のように振る舞い、ステラに質問する。
「わかんない…。」
返って来た言葉は予想通りだった。なんせこいつは海以外興味持たないもの。
なぜかステラはくるくるまわりだす。白いドレスと、やわらかな金髪がひるがえり、青い空、白い雲、緑の草原、虹色のシャボン玉にそよ風が肌を撫で、そこには純粋な幼女が踊る。
そう。まるで妖精のように…。
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