ネスリュカ
シリアス。
リンクよドンマイ。
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sychic Boy's




相変わらず自分達が現れると同時に沸き上がる歓喜の声が耳を打ち付ける。
いい加減慣れないとな…
なんてストレッチ運動をするネス。
隣にはリュカが緊張をほぐそうと深呼吸する。
今回はチームバトル。
ネスはいつもと変わらない格好での登場。
リュカは赤系統のボーダーシャツ。
相手は青チームとして水色カービィにむぎわら帽子のプリン。
なにかとお互いのチームは共通点があるみたいだ。
いつものアナウンスがカウントを始めてGO!の掛け声とともに、ネスは走り出した。
向こう見ずな行動にリュカもフォローしなきゃと後を追う。
どういうわけか、カービィがリュカの前に立ちはだかる。
カービィは昔からこういった乱闘に慣れてるからフォローとかも上手いんだろうな…
なんて思いながらネスの足を引っ張らないようにカービィの足止めをする。
いや、こちらが足止めされてるけど。


カービィと戦っているうちに、背中がなにか弾力のあるものにぶつかった。
プリンかな?なんて思ったらネスの黄色いリュックがぶつかった。
ということははさみうち…!?
と急に不安になる。
でもネスはひょいっとプリンの頭上へと飛び上がる。
そしてそこには火薬箱が…
ネスもなにか合図を送っていた。
爆発させてどちらかをふっとばす作戦?
なんて考えているとカービィが強力なハンマーを振ってきた。
あいにくダメージを受けてないリュカはそんなにふっとばされることなく空中に投げ飛ばされる。
ラッキーなことに火薬箱の近くにはカービィが。
しかもネスもショートキックでプリンを火薬箱の近くへと飛ばす。
ネスの努力を無駄にするわけにはいかない!
だからリュカは空中からPKファイアを投げつけようとした。…が。
リュカの指には何も力がこもってなかった。

「!?」

何故かカービィ達も疑問を浮かべる。
Psiが使えなくなってることに気を取られてリュカは地面にたたきつけられた。
かわりにネスが空中に身を投げ、PKファイアを火薬箱へと引火させる。
プリンは爆発で遠く吹っ飛ばされた。
カービィは反応が早くさっと避けて空中で無防備なネスを追撃する。
リュカがネスを助けようと空中で自分の身体にPsiを纏う攻撃、
PKフライングアタックをこころみるが、やはりうまくいかずカービィとぶつかる。
そんなミスをフォローすべく、ネスは空中で頭突きを入れる。
そしてPKフラッシュをためて、カービィが地面に落下する所でそれを爆発させた。
タイミングがバッチリで、カービィは落ちるところか空へと吹っ飛ばされる。

「…ネス…フォローありがとう…」

本当なら嬉しさに声が明るくなるのに、暗く沈んでしまう。

「うん…。でも、どうしたの?」

あんなにPsiを上手く使いこなして戦っていたのに…。
だからネスもそれどころじゃなかった。




宿舎に戻ってからリュカは幾度もPKファイアーだのPKフリーズだの、
いろいろなPsiをこころみた。
でもそのちからはひとかけらもなかった。

「疲れてるのかな…?」

Psiは頭でイメージして使う力だからそんな原因があっても不思議ではない。

「…眠ってみたらその疲れが取れてるかもしれないよ?」
「でも、そんな事急に言われても…」
「大丈夫。僕がさいみんじゅつをかけてあげる。」

そういってネスは意識を集中させる。
瞬くまにリュカの意識は遠くへと飛ばされた。




次の日に、ネスはリュカにPsiを教えていたがうまい具合に教え方がわからない。

「なんかこう…頭でイメージするの?
それで力を解き放つというかなんというか…」

やはり説明がうまくいかずにあやふやな説明になる。
出来ず終いに、リュカは座り込む。
別に諦めた訳ではない。
無理して脳を使ったら疲れに疲れ果ててしまう。

「…やっぱネスはすごいね。」

急に落ち込み、突拍子もなく言うものだし、ネスは「何が?」と聞き返す。

「僕ってさ、大体の攻撃ってPsiを使うでしょ?
ずっとPsiに頼って普通に自分の力で戦ったりしないで…
なのにネスは自分の力で戦ってるでしょ?」
「…ん〜…そんなこと無いよ。僕だってPsiに頼ってる所あるし…」
「だからね、僕、ネスみたいに自分の力で戦いたい!」

何かに決意を固めるのはいいこと。
でも、ネスはそんなリュカの言葉を受け入れない。

「…そんなの、リュカらしくないかな…」

リュカにとって、予想つかない返事だったので思わず聞き返す。

「だってそれがリュカのスタイルでしょ?
それに、みんなが使うことのできないような力をあんな上手に使うことができるのに…
もったいないよ?それが『リュカ』なんだから…」

そんなこといわれても、どうしろと。Psiが使うことができないのに…

「その人になろうとどんなに努力しても、自分は他人になることなんてできないよ?」

リュカは落ち込んでしまった。
ネスも「あ…」と無意識に自分の口を塞いだ。
誰かに憧れて、その人になろうと思って強くなるのに…
ネスはそう努力してるリュカの心を踏みにじってしまった。

「ご、ごめん…言い方が悪かったかも…」

落ち込むリュカに、顔をのぞきこみながらあやまる。

「…ううん、いいの。
ネスの言う通り、自分を大事にしなきゃね。」

暗い表情を拭い去ってにっこり笑った。




今の時間帯には乱闘はおこっていない。
それを狙っていたのか、亜空軍が現れたのだ。
でも亜空軍も計算を誤ったのかな?
乱闘がないからみんないるんだよ?

空中スタジアムに足を踏み入れる。
みんな準備万端。ネスもバットを握りしめて立ち向かう。

「…ネス…」

みんなが亜空軍に向かって走り出した時、リュカ一人だけ立ち止まり、ネスを呼び止める。

「…僕…戦えるかな…?」

みんな強いからきっと負けたりなんかしない。だけど後ろ向きな彼は不安で仕方なくてただ一人立ち向かえずに怯えるばかり。

「何言ってるの?PSIを使えないくらいで…みんないるから大丈夫だって!」

励ましてもリュカは俯いたまま、ネスの心配している姿を見ようとしない。
そんな二人の足元に、ふっと何かの影が映った。
振り返ったところで、もう遅い。
ソードプリムが青白く光るビームソードを、ネスの頭上目掛けて振り下ろして来る。
だがさらに上で剣の先をソードプリムに向けて急降下してくるトゥーンの姿が二人の瞳に映る。
落下スピードはたいしたもので攻撃を喰らう前にソードプリムは影虫となって散っていった。

「二人とも!何してるの!?それじゃただの的だよ!?」

かなり必死に叫んでる。
ハラハラしていたらしい…

「ご、ごめんっ…」

PSIの使えないリュカを置いて、ネスは亜空軍団に突っ込んでいく。
ほとんど無防備と言っていいくらいのリュカのところに、プリムが集まる。
PSIが使えなくでもぼうっきれや蹴り技を駆使して蹴散らしていく。
そこで思い出したようにネスが大分ダメージを喰らった状態で戻って来る。

「ネス!大丈夫!?」

リュカに心配させないように「大丈夫。」と笑いかける。
また的にならないように、ネスは颯爽と駆け出して戦いに加わりに、リュカの元から離れてく。
運が悪いことに、誰かが吹っ飛ばしたプリムがリュカの足元に投げ出され、リュカはバランスを崩す。
だが後ろには足場はなく、そのまま空中に身の自由を奪われる。
足場には当然手は届かず、本当ならヒモヘビを使えば助かるのに、『PSIが使えない』と言うことに捕われて何もできなくて空中を泳ぐ。




ネスの耳に、リュカが自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
まさか…!と、リュカのいるとこに目を向ければ、リュカが足場から離れてしまい、落ちていくのが確認できた。
足が勝手に駆け出して、ネスも空中へと身を投げた。
片方はリュカの手を掴み、もう片方は足場を掴む。とネスの頭はそう描いていた。
が、彼は確かにリュカの手を掴んだが、足場を掴むはずの手は届かずに空を掴んでいた。
このままじゃリュカの二の舞に…!




ネスの視野に、リンクのクローショットが見えた。
二人が落ちるのを見たリンクが咄嗟の判断で掴まれるクローショットを発射していた。
爪はネスのリュックを掴んで、落ちるのを止めた。
リンクの力なら、二人を引き上げるのは難しくはない。
無事に復帰できた二人は安心して地面にへたりこんでいたのもつかの間。
誰かが中途半端にダメージを与えたままのスパーが身体を真っ黒にして三匹で襲い、電撃を放つ。
今度はリュカが咄嗟にネスとリンクの前に立ちはだかり、少し前までできなかったサイマグネットを張り、電撃を無効化した。
こればかりかネスだけでなく、リュカ本人も驚いた。
そして喜びを表したかったが、今はそれどころではない。
リンクが『この世界』に来る以前に身につけた一つの奥義、『とどめ』をスパー達にお見舞いした。




今のが最後だったらしく、さっきまで奇妙な色の空が、今はすっかり青を取り戻していた。
みんな戦い終わった後の一息をつきながら、宿舎に戻っていく。

「ネス!見た!?またPSIが出来るようになったよ!」

目を輝かせ、嬉しさを精一杯ネスにぶつける。
宿舎に戻るところに、リュカが、

「今度は僕がネスに恩返ししなきゃね。」

とネスに伝えた。
ネスも「じゃあ次のチーム戦はリュカにまかせっきりにしようかな!」とからかうように言い放つ。

そんな二人のやり取りを、リンクは離れたところで聞いて、複雑な表情を浮かべる。

「…俺に恩返しはないのか…?」








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