ネスリュカ
シリアス&ほのぼの?
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ぼくにできること
ファイター達で家族が出来ているような、そんな気がした。
サムス姉ちゃんがまるでお母さんみたいな気がして、
後ピット兄ちゃんにトゥーンがいて、ぼくにリュカ。
お料理とかはゼルダ姫とピーチ姫。
「ねぇねぇ、ゼルダ姫、今日のごはんなーに?」
宿舎の台所からトゥーンの声が聞こえた。
「トゥーンは何がいいかしら?」
こんなやりとり、まるで親子。
トゥーンは悩むに悩んだあげく、
「ネスに聞く。」
ひそかに聞いていたネスは思わずなんでだよっ!と心で叫ぶ。
「なぁ、ネス、何が食べたい?」
「ん〜…。ハンバーグがが食べたいなぁ。」
「ハンバーグかぁ…。」
トゥーンはいいかも。なんてまた悩む。
「あら、ネス君のママみたいにおいしくできないわよ?」
ホームシックになりかけるネスに、トゥーンは焦りを覚える。
「え〜?でもぼく、ゼルダ姫の作るハンバーグ食べてみたい!」
「あら、そしたらお買い物に行かなくちゃね。」
ゼルダがかごを持つと、トゥーンが「僕もいきまぁす!」と元気な声を張り上げた。
ネスは今日の夕飯がハンバーグだとわかったとたん、うきうきしながらリュカの所に行った。
「リュカ!」
ネスの元気な声に反応して、「どうしたの?」と返すリュカ。
「今日ね!ゼルダ姫がハンバーグ作ってくれるって!」
「へぇ〜!姫が作るんだからきっとおいしいだろうなぁ…」
ゼルダ姫がハンバーグを作るってあまり想像できないけど…
どちらかと言えばピーチ姫が作るイメージがあるかな?
「じゃ、今度、姫にふわふわオムレツ頼んでみようかな?」
「そうだね!おいしそう!」
ネスとトゥーンの「ごちそうさま!」の声が宿舎内に響く。
「ネス君のママみたいにうまく出来なかったけど…二人ともどうだった?」
「「おいしかったぁ!」」
「そう。よかった。」
ネスやトゥーンが満足したみたいでゼルダもうれしそう。
「調味料間違えそうだったけどな。」
横でリンクがぼそりと呟く。
「リンク、何か言いました?」
「い、いや…何も…」
同じことを言えば明らかにディンの炎が飛びそうだ。
「…ごちそうさま。」
リュカがいかにもふつーに振る舞い、部屋を後にした。
ネスが夢と現実の狭間をさまよっているとき、
かすかに泣いている声が聞こえた。
リュカが泣いている…?
なんて、すぐにわかったけど、意識が夢の中へと引きずり込まれた。
朝、ネスとトゥーンは外で遊んでいた。
ネスはバットで素振りをしたあと、「いいぞ!トゥーン!」とバットを向ける。
「よ〜し!行くぜ!ネス!
トライフォース・スルー!!」
と言いつつ、普通にボールを投げるだけ。
見ていたピットはなんだそれ。と、こけそうになる。
「たぁッ!」
キィンとすっきりしそいな音が空中に響いた。
見事なホームラン。
「あ〜!」
ボール一個しかないのに…と心で叫びながらボールの消えた空を仰いだ。
「しょ〜がない。ほかので遊ぼうぜ。」
「うん。」
二人が移動を始めるとき、ピットが「そういえばリュカは?」と止めた。
「リュカ?まだ寝てるよ。
リュカは朝が苦手だから…」
ネスが説明すると、泣いていたのをふっと思い出した。
リュカが起きて、ネスは彼が泣いていた理由を聞き出す。
「…お母さんの夢…見たの…。でも、悪いやつらがお母さんを消しちゃったの…」
リュカに取っては、嫌な夢。
ネスにはうまく慰めることなんて出来なかった。
(ぼくは…リュカの為に何が出来る…?)
「ピーチ姫!」
料理が(多分)得意なピーチの元に、ネスが現れた。
「あら、どうしたの?」
「あのね…ぼくにふわふわオムレツの作り方を教えて欲しいんだ。」
ぼくにできることは、これぐらいかもしれない…
「…リュカ君の為?」
見事におみとおされ、言葉も出なかった。
「リュカ君想いな所なのはみんな知ってるわよ。
誰よりもリュカ君の事、友達に思ってるもの。」
ピーチは笑って「いいわよ。教えてあげる。」と続けた。
なかなかうまくいかず、何度も失敗したけど、でもくじけないで何度も挑戦した。
すでに台所のシンクの所には卵のカラだらけだった。
何回もつくってようやくできたふわふわオムレツ。
ちょっと形は変だけど…
「リュカ、よろこんでくれるかなぁ…」
「喜ぶわよ!きっと!
ピーチにほめられて、ネスはどこか満足を覚えた。
「リュカ。」
ふわふわオムレツを持って、ネスはリュカに声をかけた。
「…?」
「リュカ…元気なかったから…ちょっとでも元気になってほしくて…
リュカのママのようにはいかなかったけど…」
リュカはふわふわオムレツを受け取り、「ありがとう。」と言って一口食べる。
「お、おいしい?」
「うん!とっても!」
リュカは満面の笑みを浮かべて喜んでくれて、ネスも安心した。
「ぼくにできることはこれくらいだけど…ごめんね。」
「ううん、いいの。ありがとう!」
ネスはリュカの笑顔を見れて、なんだか嬉しかった。
でも、さらなる悲劇は…
あ…。ママのハンバーグ、食べたくなっちゃった…
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