友達と影 αの続き
戦闘描写、若干血表現ありです
相変わらず俺設定ですがαの時と同じく許せる方のみ閲覧をお願いします
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「シグを利用しようだなんて…!!」
クラスメートをそんな風に利用する上に、さらにこの本を狙っている。
この本が相手の手に渡ってしまえばどんなことになってしまうのか…想像なんてしたくない。
しかし、この本の封印なんて解くことなんてできるのか?
「ディフェクチオルナーエ!」
無数の光を月食の力が吸い込んでいく。
大きな力に吸収できそうにないように思ったが、クルークの気迫でなんとか持ちこたえ、そのまま跳ね返す。
その反動によろめき、体制を整えようとするが…
「セルリアン!」
気が付けばくろいシグがクルークの頭上を青い光を腕に宿らせて強襲してくる。
とにかく回避しようとおもむろに横に避ける。
バランスを崩して転倒はするが、くろいシグもとっさに次の攻撃には移れなかった。
体制を崩しながらも、向こうも無防備で、そのままフォッサを繰り出す。
その光は腕に命中し、くろいシグはひるんでさらにしりもちを着く。
「いたた…いいのかい…?そんなことして…」
腕を押さえながらゆっくりと立ち上がる。
クルークも同じように立ち上がり相手と向き合う。
「キミの友達の体は傷ついちゃうんだよぉ?せっかくの身体なのに…」
その言葉に返す言葉なんて見つかりもしなかった。
「ほら、わかったでしょ?僕がもうこの体に宿る限り、キミにはどちらにしろ何かを失うことになる。
大事な本を失うか、友達を失うか。
だから僕の勝ちだねぇ!キミが本を死守して、この身体を手放すのは惜しいけど…そしたら今度は何とかしてキミの身体をいただくことにするし!」
「ステラ・イネランス!!」
自由奔放な、そして卑怯な狡賢い発言に怒りを抑えきれなかった。
怒りで大きくなった魔導の力はさっきより大きくなる。
だがそれも難なく躱し、目にも止まらない速さでクルークのすぐ背後に。
そして耳元でささやく。
「いったでしょう?友達の身体は傷つくって…」
そのまますぐにラピスラズリを繰り出す。
クルークは成す術もなく宙にと放り出される。
そして地面に叩き付けられる。
「げふっ…ごほっ…それでキミがあきらめれば…いなくなれば…いくらでも…
許してくれるだろ!?シグ!!」
本を開いて俯せのままテクトニックを放出。
青い波が地面を張って絡み付くようにくろいシグの身体を打ち付ける。
「ふふっ…何度言ってもわからないなら後悔するといいよ!」
余裕の笑みを浮かべ、どこか表情は怒りに満ちている。
不意にくろいシグはクルークのもとへ飛び込もうとすると眼前に北斗七星のように光が並ぶ。
「!?」
思わず立ち止まると瞬時に光が一つになるとそのままくろいシグを吹き飛ばす。
壁に身体を打ち付けられ、いろんな箇所が血でにじむ。
「ネブラ・マクラ!!」
追い打ちをするように次の攻撃。
星の光が直進してくる。
「セレスト!」
とっさにシールドを張ってそのまま跳ね返す。
自分の攻撃に避けられずに、痛みにうめきながらクルークは膝をつく。
痛みに身体が悲鳴を上げていて、動こうにも擦り傷や切り傷で体が思うように動いてくれない。
そして皮肉にも頭上から無数のきれいな色をした蒼が降り注ぐ。
もう限界。
クルークの身体は正直に頭にそう命令した。
これ以上抵抗したら死んじゃうよ。
これ以上喰らったら死んじゃうよ。
あきらめて本を渡そうよ。友達なんて見捨てて逃げようよ。
そう命令している。
だけどクルークの頭は命令に逆らう。
(止せ!無理に大きな力を放出すれば貴様は…!)
「ここで逃げろって…?無駄だよ…どうせボクを追って来るにきまってるさ…
だからここで…あいつをどこかにやって…シグを助けなきゃ…!」
ゆっくりと立ち上がるとくろいシグは苦虫をかみしめた顔をしてこちらを睨む。
「あーもう…いい加減にあきらめてくれないかなぁ…いちいち相手している暇はないんだから早くその本頂戴よ!」
くろいシグは両手を前に構えると手のひらを向き合わせる。
そこから紫色の光が少しずつ膨張していく。
「我に力を…我に力を…!」
本を開いてゆっくりと何かを念じる。
すると本がゆっくりとクルークの手から離れ、浮かび上がる。
「…!」
何か大きな力を感じ取ったのか、くろいシグに焦りができる。
これで決めなければと…
宙を舞った本は引力を発し、すべてを呑み込むように力が集中していく。
くろいシグもそれに引かれていく。それを阻止しようと精一杯両足を踏ん張るが、ダメージで思うように力が入らない。
だが紫の光もサッカーボールほどの大きさになっている。
「シグを返せ!!!」
心の奥底から感情と力を爆発させた。
くろいシグは引力に足を取られ、そのまま閃光の爆発に巻き込まれていった。