シグ←クル
おんぶネタが多いと気づいたこのごろ
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新品の靴を買った。
焦げ茶の色が美しく、革製特有の光沢が光を反す。

クルークは自分の足に収め、なじむ感覚を堪能しようとした

…が、サイズが少々小さく、足の指が締め付けられる。

歩いてみればまだ革が慣れていなく、足の動きについてゆけずにぎこちない感覚になる。


そのうち慣れるだろうとそのまま学校へと足を進めた。





学校についてからなにやら足がひりひり痛みはじめてしまった。

痛みに顔を歪めたが新品の靴だからと自分にひたすら言い聞かせた。


放課後は研究の為にナーエの森へと入っていった。
足が痛いのを知っておきながらも研究を怠ってはいけないと無理をしている。


(…なぜそこまでして…貴様の足は限界だろう?)


本から声がする。
紅いタマシイが感づいたのだ。


「…うるさいな…家でじっとしていられないんだ」


我を貫く。

誰になんと言われようと。


しかし足が限界に達したのか、その場でクルークはしゃがみ込む。


(馬鹿者が…!
無理をするからだろう…)


どう考えても靴擦れによる痛み。
だが靴擦れなんてどうということないとクルークは立ち上がる。


「…っ…」


歩を進めようと足を踏み出したが痛みが辛い。


(…こんなところではほとんどの者は足を踏み入れぬのでは…)
「自分で蒔いた種さ。なんとかする。」


なんとか立ち上がり、出口に向かう。
苦痛に耐えながらゆっくりと歩く。


(…ん…?)


紅いタマシイは何かに感づいた。
近くに同じ反応を感じる。


(我が血を引き継ぐ者が…近くにいる…近づいて来る…)
「シグ…?」


今日も元気に虫取りかな?
だけど今日はなんだか有り難く感じた。


「めがね?どうしたの?こんなところで」
「あ…ちょっと…ボクとしたことが足を痛めて…」


ふがいないとあらためて思った。


「足痛いの?なら連れていく」
「ふぇ?」


シグの言葉があまり理解出来ないうちにシグはしゃがみ、クルークに背を向けそのまま腕をシグの方に引く。
その流れのままにクルークはシグの背に身体を委ねた。

クルークを背負って立ち上がる。


「お、おい…それじゃシグが…」
「へーき」


足の痛みから解放された安堵と、シグの背中から伝わる温もりが心地好い。

なんだか疲れてねむってしまいたいくらい。


「森出たよ」


シグの声で目を開け前を見ると薄暗かった森から一転、暁に染まった外の景色が眩しかった。


「…ありがとう…後は自分で歩くよ…」
「だめ」


クルークの言葉を無視して構わず足を進めた。


「足痛いのに無理したらダメだよ。」


自分に尽くすシグに疑問が湧く。


「どうして…そこまで…」
「…だって…いつも勉強おしえてくれるし、宿題見せてくれるし」


シグなりの恩返しとして尽くしていた。
だけどあんなもの何一つとしてたいしたことない。


「だからお礼。」


足を止めればクルークの家が目の前に。

なんとなくシグの背から離れるのが惜しかった。


「ありがとう…あのさ…」
「…なぁに?」
「…いや…なんでもないや…」


気づけばもう一番星が見える。
暗いし、何かお礼がしたかったのだ。


「なんでもない?じゃあ帰るね。またねー」


なにか素っ気ない返事
去っていく彼を見て切なくなった。

でもまた明日会えるからその時は宿題でもなんでもたっぷり手伝うとしよう。












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