研究所の中はあっさりと進入できた。

だけどエントランスに進入できただけで、もっと奥に入るのは困難だ。
受付のところに青いブタマスクがいるものだから。


だが自分達がここに来ていることに警戒していない。
敵視していないのだろうか。

リュカがブタマスクのところに向かう。
ネスとジェフが止めようとするが、ボニーがそれを阻止した。


「そうか。何か考えがあるの?」


リュカがブタマスクと会話している。


「今日から働くことになっているバイト君か?」


やっぱりブタマスクは疑うことを知らないというか平等にこの世界のみんなを見ているのか善悪の判断がつかないと言うのか…
リュカが説得したのか、研究所の中に入ることを快く承諾してくれたそうだ。
ちょうど自分達も入れて。


奥にあった扉を開けて入り、ロッカーがあるのを確認できた。
リュカはそのロッカーを開けて、ブタマスクたちが被っているのと同じマスクを取り出した。


「あの人はこれを被ってくださいって言ってました。」


そういってネスとジェフに手渡す。
どちらにしろみんなからは敵視されないから好都合だが何だか見えにくい。
ジェフが先導して先に進むと横に長く広がった廊下に出くわし、いくつもの扉が並んでいた。


「一つ一つ部屋を確認したほうがよさそうだね。」


どうせ怪しまれないだろうから分散して各部屋を探しに行く。
それぞれの研究員が新しいキマイラを生み出そうと、案を練っている。

リュカはある部屋に入る。
そこは部屋中央に大きな赤いかごがあり、そこには何かがいたのだが、リュカには判断ができない生き物だった。


「お、バイトくんかい?」


研究員がリュカの存在に気づき、さらに話を続ける。


「こいつのことが気になるかい?これからキングP様の誕生日にと新しいキマイラを開発するところさ。」
「キングP様?」
「まさかキングP様のことをご存知ないのかい?今こうやって我々がこうして働けているのも、みんなの暮らしを支えているのも、
全てキングP様のおかげなのさ。」


キングP様

その人がネスさんの友達だというのだろうか

ネスさんと同い年くらいなイメージしかない。

なのにこんなにも世界を変える力を持っている?







ネスは薄暗い部屋にたどり着いた。
電気はついていなく、明かりといえばスクリーンに映し出された映像しかない。
だがそこにはネスが驚くような映像が映し出されていたのだ。


「おや、君もバイト君か。最近こんな生物が発見されているんだ。」


そこにはかつてネスたちがお世話になったどせいさんの姿が映し出されていたのだ。
まさかどせいさんもこの時代に連れてこられてのかと思ったが、
研究員の発言からしてもともとこの時代にもいたということが推測された。

仮に博士がここにいなかったとしたら、きっとこのどせいさんたちのいる場所に違いない。


「あ、ところですみません、おサルさん見ませんでした?」


今回の目標を危うく忘れてしまうところだった。
この目標を済ませて、どせいさんたちを探して、協力してもらう。


「サル?逃げたのか?だから外は騒がしいのかな?ボクはどせいさんたちの研究しているから良く知らないけど…
他を当たってみてはどうかな。」




「うわっ」


ジェフの目の前に、たくさんの骨格標本が現れて、思わず声を上げる。
しかも、全て見たことのない標本。
一つ一つに興味が沸いて、時間を忘れたいくらい。
標本が列を成している間の通路に、何かを見つけた。
そこには2匹のサルだ。


「もしかして君が…」


ジェフがサルの元へ行こうとすると、警戒して足早に逃げ出した。
あのたくさん扉のある廊下へ…
見失わないうちに廊下へ出ようとすると、大きな影が襲い掛かる。
ジェフを倒し、両腕を押さえつける。

押さえている両手は機械でできている。
目の前に移るのは、殆ど機械化されていたライオンが威嚇するように牙をむく。
抵抗するにも力が強い。両腕が押さえられている上に、不意打ちを喰らったときに武器を手放してしまったのだ。
彼の臆病が、ここで強く発揮されてしまう。






ウィンターズを思い出させるような冷気が、扉を開けた途端強く襲ってくる。
まさかサルがこんな冷たいところに逃げるなんてあり得ないと思いつつ、それでも情報を入れるためにしぶしぶとはいる。
もう一つ扉を開けると、大きな氷の塊。
その前に、リュカとボニーがいたのだ。


「リュカ、ボニー!」


ネスの呼びかけに、ボニーは気づいたものの、リュカは切なげに塊を見たまま動かない。
その塊はただの塊なんかではなかった。
中には大きな恐竜が氷漬けにされていた。


「リュカ!いつまでもここにいたら危険だよ!リュカもボニーも、凍えちゃうよ!」


リュカの腕を強く引いた。しかし彼は力なくネスに動かされるだけだ。


「リュカ!」
「…ドラゴまで…どうして…」


リュカの目は光を失っていた。まるで何も見ていないかのような。
リュカもボニーも、このドラゴという生物との思い入れが強かったのだろう。
しかしここで凍えてしまえば、何の解決にもならない。

何とかして彼を引っ張り出して、なんとかしてリュカを我に返そうとしている。


「リュカ、気持ちは分かるよ。でもだからといっていつまでも落ち込んじゃいけないよ。」


ネスは必死に説得を試みる。リュカはゆっくりと顔を上げる。
言葉がしっかりと入っているだけ安心だが、果たしてネスにリュカを説得する力があるのだろうか。


「何にも知らないわからずやだけど、リュカがそうやっていつまでも落ち込んでちゃ、あのドラゴだけじゃなくて、
あの二人も、リュカの前からいなくなっちゃうかもしれないよ?リュカのお父さんも、ボニーも、僕もジェフも!」


リュカの頭の中に、色んな思考が渦巻く。
針を抜く大きな運命。
この世界の命運は、自分に託されていることを、リュカは思い出す。


「ネスさん、ごめんなさい。でもホントに悲しくて…どうすればいいか…」


必死に涙をこらえている。
顔をこちらに向けないのだ。


「さぁ、行きましょう。迷惑掛けてごめんなさい。早くおサルさんを見つけなきゃ。」


極寒の部屋から抜け出すと、さっきより様子がおかしいことに気づく。
ブタマスクが数人慌てふためいて、武器を持ち上の階に駆けつけている。


「行こう!きっとそこにいるんだ!」


二人と一匹は、ブタマスクたちの後を追う。
その先に行きついたのは…
















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